トヨタとデンソーは、トヨタの主要な電子部品事業をデンソーに集約することについて検討してきたが、2019年4月5日に正式にトヨタがデンソーに事業譲渡することを決定した。これまでは電子部品の開発や製造はトヨタ、デンソーの双方で行なってきたが、今回の決定により、電子部品の開発と生産事業はデンソーに集約されることになった。
トヨタ内製主義の方向転換
つまり電子部品の分野で専門性の高いデンソーに集約することで、これまでよりスピーディで競争力のある開発・生産体制が構築されることになる。もちろん、グループ内の重複する業務を解消しデンソーに一本化することで、トヨタは電子部品の開発部署は今後、新たな開発領域にシフトさせることができるわけだ。
なお2018年の時点では、2019年末に電子部品の生産をデンソーに移管し、開発に関しては2022年以降に集約する方向で検討していたが、新たな電子部品の開発・製造体制をより早く構築するため、2020年4月に繰り上げて実施することも決定している。
今回決定した主な契約内容は、トヨタの広瀬工場での電子部品の生産をデンソーへ集約し、広瀬工場の土地、生産インフラ(建屋、設備、ソフトウェアなど)もすべてデンソーへ譲渡すること、電子部品の開発機能をデンソーへ集約し、トヨタが持っている電子部品の図面、開発設備などもデンソーへ譲渡するというものだ。
広瀬工場は1989年に稼働を開始し、当初はトヨタ車の電子制御ユニットのCPUの生産やABS、エンジン制御ECU、エアサス、エアバッグのECUなどの生産を行なってきたが、その後1997年以降はハイブリッド車の主要部品、ハイブリッド用パワーコントロールユニット(PCU)の生産がメインとなっていた。
デンソーは、言うまでもなく電装部品、内燃エンジン用、ハイブリッド車用の電子制御の部品、システム、ECUの開発、生産が主力で、もちろん電子部品の開発や生産の希望はデンソーがトヨタを上回っている。そのため、トヨタの内製主義を方向転換し、デンソーに一本化することで開発スピードのアップ、コストダウンを図ることになったと言える。