自動車部品メーカーでアクティブセーフティ、パッシブセーフティシステムの世界的サプライヤーであるTRWオートモーティブは、2015年1月にプジョー・シトロエン・グループ(PSA)の運転支援システムに関する供給パートナーに選ばれたと発表した。
PSAは、TRWの次世代レーダー (AC1000)、カメラセンサー(S-Cam 3)の市場投入に合わせ、単独センサー、また両方を組み合わせたデータフュージョンシステムとして採用し、2017年からプジョー、シトロエン、DSにこれらの運転支援システムを導入する予定だ。また各種センサーの提供に加え、TRWは完全なシステム統合と機能開発に関する契約もPSAと締結している。
PSAに供給されるのはレーダーとカメラにより、渋滞時の発進と停車を支援するストップアンドゴー機能付きのアダプティブ・クルーズコントロール (ACC) と車線維持支援機能だという。
ヨーロッパではユーロNCAP(安全性能評価基準)におけるアクティブセーフティの基準が一段と厳格化されており、TRWは新たに求められる要件に対応できるようPSAと緊密に連携するという。なおTRWはすでにシトロエンC4ピカソ、プジョー308向けに安全システムを供給しており、2017年からはヨーロッパ、中国生産の全車種に適用を拡大することになる。
また、TRWは2015年から同社のエレクトロニクス事業、特に自動運転部門を拡充することも発表した。TRWグローバルエレクトロニクス部門副社長のトルガ・オウル氏は、「自動車業界にとって、自動運転技術の開発は最重要課題となっています。自動運転の実現には、センサーとコントローラー、アクチュエーター間の統合レベルを高めるとともに、冗長性戦略が不可欠です。TRWではこうした分野で自動車メーカーと効果的に連携できるよう取り組みを始めています。一例として自動運転システム向けのエンジニアリングチームの規模を2015年中に倍増させます。これは日本、欧州、北米のお客様からの製品開発に対するニーズに対応するためです。さらにTRWでは、運転支援システムの製品ポートフォリオ全体の拡大を目指しており、全社的に技術者の採用を進めています」と語っている。
TRWでは、アクティブセーフティシステム・ポートフォリオ部門副社長としてブライアン・ローを新たに任命。ローは運転支援用の各種センサー、セーフティ・ドメインECUの開発、自動運転実現に向けた戦略立案、遂行を統括する。さらに、新設されたアクティブセーフティエンジニアリング部門ディレクターに、ハンス・ゲルト・クレケルスを任命した。クレケルスは運転支援用センサー、セーフティ・ドメインECU、自動運転に必要なソフトウェアを担当する。
なおZFグループのTRWの株式買収は、2014年秋にTRWの株主の承認が得られ、ZFグループは約1兆4000億円でTRWの株式を取得する。この取得手続きは2015年上半期には完了すると予想され、今秋にはボッシュ、デンソーに比肩するメガサプライヤーが誕生することになるが、TRWが得意とする分野での体制作りは順調といえそうだ。