ZF ZFレースエンジニアリング社がヴェンチュリー・フォーミュラEのドライブライン、シャシーを開発

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2016 ~2017シーズン用のヴェンチュリー VM200-FE-02

2016年8月、ZFはフォーミュラEに参戦しているヴェンチュリー・フォーミュラEチームのテクニカルパートナーとなることを発表した。そしてZFレースエンジニアリング社は、ヴェンチュリー・フォーミュラE用の新しい駆動システム、シャシー・コンポーネントを開発して参戦する。

FIAフォーミュラEのシーズン3(2016/2017)は2016年10月9日に香港で開幕する。フォーミュラEに対してすでにアウディがABTシェフラー・チームのサポートを強化し、2017年~2018年のシーズン4からはアウディ・ワークスチーム参戦を決定するなど、ドイツ勢がヒートアップしているが、ZFも同様のアクションを開始した。

ZFはヴェンチュリー・フォーミュラEと長期的な技術提携を結び、2016/17シーズンからチームにサスペンション・システム技術やコンポーネント、シミュレーションやテストのための装置、その他の技術的な支援を提供する。今回のパートナーシップの目的は、駆動モーター、インバーター、トランスミッションを一体化するまったく新しいドライブラインの設計・開発だ。

Shivraj Gohil / Spacesuit Media
シーズン3用のマシン「VM200-FE-02」の発表会

FIAのテクニカル・ロードマップが定めるフォーミュラEのシーズン5からの技術規定では、ドライバー1人につきマシンの使用は1台のみとなっている。この課題に対応するためZFは、ヴェンチュリー・フォーミュラEチームと協力し、パワートレーンやサスペンション・システムを設計・開発することになった。

10月に開幕するシーズン3でヴェンチュリーはZF社が特別に開発した高性能ダンパーを装着したマシンで参戦する。そしてシーズン4に向け、ZFとヴェンチュリーは、現在のマシンに搭載されているトランスミッションを再設計し、さらなる最適化を行なう。

Shivraj Gohil / Spacesuit Media
モナコの自動車メーカー、ヴェンチュリー社は俳優のレオナルド・ディカプリオとの共同プロジェクトとしてフォーミュラEに初年度から参戦

既に開発が始まっている新しいドライブラインには、パワー・エレクトロニクスや新規トランスミッションを含め、最先端のモーターが組み込まれる予定だ。この新しいドライブラインは、シーズン4中にテストを行ない、タイトル獲得という目標を掲げて2018年秋に開幕するシーズン5に参戦する予定だ。

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ドライバーは左からマーロ・エンゲル(メルセデス-AMGワークスドライバー)とステファン・サラザン(トヨタWECドライバー)という強力な布陣

ZF社のシュテファン・ゾンマーCEOは、「FIA フォーミュラEにおけるヴェンチュリーとの技術提携は、一般的な車両に応用可能な新しいテクノロジーに対するヒントを与えてくれます。今後のモビリティにおいては、電動化がカギとなります。魅力的なフォーミュラEのプラットフォームを活用し、ヴェンチュリーの勝利に大きく貢献したいと思っています。勝利を手にすることで、主要開発パートナーでありテクノロジーリーダーでもある当社の能力を証明することができます。さらに、電動パワートレーンを搭載したヴェンチュリーと共に勝利することで、モータースポーツ界における当社の信用をさらに高めることもできます。FIA フォーミュラE選手権は、将来を見据えた、持続可能性を重視するコンセプトに基づいており、ZFが能力を発揮するのに最適な舞台といえます」と語っている。

編:電動化技術はカーメーカーにとどまらず、すべての自動車産業にとって大きな変革の要素を持っている。ZF社はドイツに本社があるTier1で、多くのギヤ部品、サスペンションなどが有名なシステムサプライヤーだ。フォーミュラEには、アウディ+シェフラー、ジャガー、などが新たに参戦表明する中、ZFも新たなドライブトレーン開発の場としてフォーミュラEに参戦を決定したということだろう。

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