グローバル・サプライヤーのZFは2022年12月19日、イメージング・レーダと呼ばれる4次元レーダーを中国の上海汽車集団(SIAC)の電気自動車「R」シリーズ向けに供給を開始した。ZFのイメージング・レーダは、対象物の距離、速度、水平角、仰角(高さ)を検知でき、車両の周囲を4次元で認識することができる。これらの技術を組み合わせることで、高解像度「イメージング・レーダ」は、部分自動運転、高度なレベル4自動運転に必要な安全性と信頼性を提供することができるのだ。
4次元レーダーは120度の広い開口角を持ち、仰角、つまり物体の高さも検知できることで、速度情報が加わった超高密度な、デジタル処理された環境モデルとなる高度な3D交通状況イメージを生成することが可能になる。
その情報密度は非常に詳細な物体認識を可能にし、例えば一般的なレーダー比で最大5倍の精度で、認識が難しい道路上の子供なども検出することができ、測定ポイントごとに測定対象物の速度を記録するため、より正確な情報が得られる。さらに、個々の手足の動きが検出可能なため、歩行者が歩いている方向を正確に認識できるようになる。
この情報により、道路上の車両が橋梁下やトンネルの中でも渋滞最後尾を早期に検知し、ドライバーが反応しない場合にはブレーキ警告を出し、自動緊急ブレーキを作動させることができる。また、道路の端部を検出し、緊急操舵回避支援システムなどに使われる前方および側方の回避スペース有無の情報を提供できるなど、従来のレーダーが不得意としていた領域を解消している。
物体や周辺環境の高いレベルの認識と350mという長距離検出能力を備えた4次元レーダーは、競争力のある価格で、今後のレベル2プラスの高度運転支援システムや、レベル3およびレベル4の自動運転の認知要件を満たす鍵となる存在といえる。
この4次元レーダーは、高コストなLiDAR(レーザー光式の物体画像検出)より価格を抑えることが可能で、高度な安全運転支援システムや自動運転システムに不可欠な存在として開発競争が行なわれており、中国ではファーウェイがすでに量産化している。
また、12チャネル(3つの送信機、4つの受信機)の一般的なレーダーに比べ、きわめて高い解像度とするため、従来の16倍となる合計192チャネルが利用できる。
ZFのエレクトロニクス/ADAS事業部のヤーナ・ローゼンマン責任者は、「4次元レーダーは上海汽車のRシリーズ車両の高度な運転支援と部分自動運転機能を強化します。これはセンサー技術の重要な前進ということができます」と語っている。