グローバル規模のメガサプライヤーであるZF本社は2022年10月21日、中国で急成長するEVメーカーの「NIO(上海蔚来汽車)」と戦略的提携契約を10月11日にドイツのミュンヘンで締結したと発表した。今後はステアbyワイヤを始めとする製品を共同開発して行くことになる。
調印式にはZFグループ取締役会メンバーのホルガー・クライン博士、NIOの創設者で会長兼CEOを務めるウィリアム・リー氏に加え経営陣が出席し、今後の協力について幅広く議論した。NIOのサプライチェーン開発アソシエイト・バイス・プレジデントのケビン・パン氏とZFのカー・シャシ・テクノロジー事業部責任者でエグゼクティブ・バイス・プレジデントのピーター・ホールドマン博士がこの契約に署名した。
そして両社は、迅速な情報共有手段を確立することにも合意している。これは緊密なコミュニケーションと、業界をリードするプロセスと品質基準に共同で取り組むための定期的な技術交流を行なうことを目的としている。さらにZFとNIOは、ブランド・プロモーション、製品マーケティング、技術や品質向上、顧客向けサービスにおける協力を拡充させて行く予定となっている。
NIOは、中国の3大新興EVメーカーの1社である。中国自動車雑誌・情報サイト「易車」の創業者のウィリアム・リー氏が2016年にEV専業メーカー「NIO」を設立。その最初の市販EVは2018年にニュルブルクリンク・北コースで市販EVで最速の6分45秒25のラップタイムを記録している。そしてニューヨークと香港の証券取引所に上場を果たした。
NIOのEVは大容量の駆動バッテリーを交換式とし、交換所で充電、またはバッテリー交換を全自動で5分間で行なうことができるようになっている。そのためバッテリーパックはサブスクリプション方式で車両価格を低めに抑えているのが特長だ。
ZFグループ取締役会メンバーのホルガー・クライン博士は、「ZFの新しいステアbyワイヤ・システムはマーケットをリードする最新の技術です。技術とビジネスモデルの革新に積極的に取り組み、中国自動車産業グローバル化の先駆者であるNIOと密接に協力することを楽しみにしています。今後も、コネクティビティ、電動化、自動化のメガトレンドを背景に、主要な自動車メーカーとの協力を拡大します。開かれた自動車のエコシステムにおいて、一層重要な役割を果たすべく、ZFの技術力を最大限に発揮していきます」と語っている。
またZFのアクティブ・セーフティー・システムのエグゼクティブ・バイス・プレジデントを務めるクリストフ・マーナット氏は、「自動車の電動化、自動化、ソフトウェア・デファインドの発達とともに、ZFは包括的なbyワイヤ技術で主導的地位を築き、結果、主要な地域におけるステアbyワイヤ導入に向けて、複数メーカーの契約を受注しました」と述べた。
今回の契約の締結は、ZFグループがアジア太平洋地域におけるステアbyワイヤ事業において自動車メーカーと協業する第一歩となり、両社は共同で自動運転や電動化など幅広い分野における技術の進化と発展を促進して行くとしている。