ZFは2021年5月18日、インテル社傘下のモービルアイと今後数年にわたり、トヨタの複数の車両向けに、先進運転支援システム(ADAS)の開発を行なうと発表しました。また、中距離用レーダー(Gen21)も供給し、トヨタ車のカメラとレーダーの統合制御を担当することになります。
ZFはコンピューター画像描画と機械学習ベースのセンシング機能、マッピング(高精度地図)の最適化、クラス最高レベルを誇るレーンキープ/レーントレーシングなど、車両制御技術を世界の多くの自動車メーカーに供給していますが、今回、初めてトヨタにADASシステムを供給することになります。
ZFのエレクトロニクスおよびADAS事業部を担当するクリストフ・マーナット上級副社長は、「ZFは、トヨタ、モービルアイと緊密に連携し、世界の安全基準に準拠した先進の安全システムを開発できることに胸を膨らませています。わたしたちの革新的テクノロジーによって機能を融合させたシステム、ADAS機能に卓越したパフォーマンスと安定性が備わることになります」と語っています。
モービルアイの「EyeQR4」は、最先端のアプリケーションに対応したビジョン・コンピューティングのシステムオンチップ(SoC)で、ZFの中距離用レーダーテクノロジー(Gen21)と組み合わせて、車両の周囲環境を正確に把握。横方向と前後方向におけるクラス最高レベルの車両制御と、衝突防止、軽減を実現することができるとしています。
ZFの中距離用レーダー(Gen21)は、レベル2/レベル2+の高度運転支援機能の実現を目指して設計された77GHzの高性能フロントレーダーで、2022年以降のユーロNCAPの安全性試験で、5つ星評価の獲得を目指します。
このレーダーは自動車メーカーの要件に合わせて拡張でき、衝突被害軽減ブレーキ(AEB)システムなどをサポートする歩行者検知機能に役立つ低速時の広視野角にも、またアダプティブ・クルーズ・コントロール (ACC)システムなどの高速時におけるより長距離での検知にも対応します。
このようにZFとモービルアイの最新技術は、今後のユーロNCAPの安全基準をクリアできることを前提にトヨタへの供給が決定したわけです。なおトヨタは運転支援システムに関して、従来からデンソー以外にコンチネンタルからもレーダーなどの供給を受けており、これに新たにZF/モービルアイが加わることになります。