ドイツのメガサプライヤー「ZF」は2020年10月、第2世代となる改良されたAKCアクティブ後輪操舵システムの量産を開始したと発表しました。
この最新のAKCアクティブ後輪操舵システムは、最大10度の後輪ステアリング角度により、全長が長い車両の敏捷性が向上します。また「ステアbyワイヤー」技術の採用により自動運転機能への統合が容易になっています。
このシステムは、車両中央に1つ大きなモーターを配置したセントラル アクチュエータータイプと、後輪左右それぞれにモーターが搭載されるデュアル アクチュエータータイプ(主にスポーツモデル用)という2種類があります。
AKCシステムにより、よりすぐれた小回り性、俊敏性と高速走行時の安定性の向上などを実現することができます。。デュアル アクチュエーターのシステム(第1世代)は、2013年に量産が開始され、現在までにAKCシステムはセントラルアクチュエーターを含め、世界の多くの自動車メーカーで50万台以上の車両に搭載されています。
セントラルアクチュエーターは11kN(以前は8kN)に作動力が増加し、最大3.5トンの車両にも搭載することができるようになっています。また、アクチュエーターのストロークの改良により、最大10度の後輪ステアリング角が実現しています。
そのため、この新しいシステムはバッテリーEV(BEV)にも適合します。これらの車両はリチウムイオン電池により車両重量が重く、同時に長いホイールベースになっています。こうしたEVに後輪操舵を採用すれば、都市環境における、これら車両の操縦が容易になることはいうまでもないでしょう。
もうひとつのAKCの革新的な技術は、新しい電子アーキテクチャによる「ステアbyワイヤー」システムが採用されていることです。
ZFが開発したコントロールユニットは、最新のサイバーセキュリティによりハッカーの攻撃から守られ、パーキングやステアリングのアシスト機能と連携できます。そのため、より大型のセダンでも、狭い路地の走行時や駐車時の操縦が容易になります。
第2世代AKCは、12月からヨーロッパでデリバリーが開始される世界的に有名な高級車に搭載されると発表していますが、新型メルセデス・ベンツ Sクラスであることは間違いありません。システムにより、回転直径は前モデルに比べ2m、回転半径で1mも小さくなっています。さらに今後はこの後輪操舵システムは他のモデルへの搭載も予定されています。
ZFのカー シャシーテクノロジー事業部の責任者、ピーター・ホールドマン博士は、「ZFのアクティブ後輪操舵システムの需要は伸び続けています。そのため、我々は最近、オーストリアのレブリング工場に4番目の組み立てラインを開設しました。現在、年間100万台以上を生産することが可能になっています」