ドイツ ZFは、全ての監督当局の承認を受け、商用車向け技術サプライヤーWABCO社の買収を完了したことを発表しました。これを受け、WABCOのニューヨーク証券取引所への上場は廃止となりました。
WABCOのZFへの統合は、それぞれの業界をリードする2社が力を合わせて商用車技術をさらに進化させ、ユーザーニーズに応える製品・サービス の提供を目指すとしています。そして今後ZFは商用車部門のサービスポートフォリオとビジネスの拡大に注力していきますと発表しました。
どんなニュースか
さて、あまり聴き馴染みのない企業名WABCO社と、当サイトや乗用車開発に詳しい方であればZFの名前がご存知だと思います。その2社の統合というニュースですが、ZFは車両の安全システムや運転支援などのシステム、そしてトランスミッションやサスペンションといった部品を供給しています。
一方のWABCO社はアメリカに本社を置くグローバル企業で、商用車、とくにトラック、トレーラ、バスなどのブレーキシステム、そしてフリート管理システムなどを持つ企業です。
ZFのウォルフ=へニング・シャイダーCEO は以下のように述べています。
「2社の合併により、商用車に関する技術力が大きく向上します。完全に補 完しあう製品ラインアップとノウハウによって、我々は例のない多様なソリュ ーションおよびサービスを商用車メーカーとフリートユーザーに対してグロー バルに提供できるようになります。我々は変化する輸送業界の未来を担い ます。そして、お客様や従業員、株主に対して高い価値を提供します。この買収は、当社の歴史上でとても大きなステップとなります。このようにして、我々はパワートレーンおよびデジタル化の領域で進化を続けていきます。」
つまり、ZFは商用車市場向けのシステムサプライヤーとしての幅をさらに広げ、電動を含む駆動系システム、シャシー コンポーネンツ、センサー類、および統合型先進ブレーキ、ステアリング、 運転支援システムの供給を通して、OEMの技術的な競争力向上をサポートすることが可能になるということです。
さらに、商用車向けにデジタルフリート管理ソリューションやグロー バルなアフターマーケットサービスも提供するとしています。
商用車分野では、道路交通の安全性向上、車両の高効率化や低排出ガス化と維持費の低減が望まれており、デジタル化が急速に進んでいる現在、ZFは業界の全ニーズに対応できる体制を整え、フリート管理におけるデジタルソリューション活用の増加は、システム全体の最適化と 物流管理の効率化が進めるソリューションが揃っていることの強烈なアピールというわけです。
さらに噛み砕けば、次世代車両開発技術において、車両制御のキーとなるブレーキはバイワイヤも含め電子制御化する上で重要な部品です。その分野においてWABCO社のシェアと信頼は大きく取り込むことの意味の大きさが想像できます。そして労働者たちの管理も含めたフリート管理デジタルソリューションも既に確立しているWABCOの存在は重要であったというわけです。
すでにZFはWABCO社を2019年3月の段階で買収しており、今回のニュースは冒頭のように、監督当局全ての承認が完了し、買収が完全成立したこと、それに伴いWABCOのニューヨーク証券取引所への上場は廃止となったというニュースでした。