グローバル・システムサプライヤーのZFは2020年3月12日、業界初となるフロント電動パーキングブレーキ(EPB)を市場に投入すると発表した。これにより、より多くの小型車カテゴリーの車両に電動パーキングブレーキ(EPB)システムを普及させることが実現することになる。
Aセグメント以下の車両に装着可能
周知のようにアッパー、ミディアム、そしてB、Cセグメントの車両では電動パーキングブレーキ(EPB)の導入が進み、ハンドブレーキレバーのない車両が主流になりつつある。その一方で、Aセグメント・クラスのコンパクトカーや、それより小さな超小型車でそれを実現することは非常に困難とされていた。
今回、ZFが業界初のフロントEPB量産を開始したことにより、Aセグメント以下のクルマにこの技術を導入することが可能になる。ハンドブレーキレバーがコンパクトなスイッチに置き換わることで室内空間には余裕が生まれ、インテリア・デザインの自由度が高まるなど多くのメリットがもたらされる。
ZFのアクティブ・セーフティ事業部のシニア・バイスプレジデントであるマンフレッド・マイヤー氏は「ZFのフロントEPB技術は、業界に真のイノベーションをもたらすものです。小型車や超小型車にも、EPBを導入してそのメリットをフル活用できるようになります。ドライバーも、高い安全性と快適性を得ることができます」と語っている。
EPBは、従来のパーキングブレーキ機能だけでなく、オートホールド機能によって坂道発進が容易に行えるようにもなる。また、EPBの機能であるドライブ・アウェイ・アシストにより、ストップ・アンド・ゴーを繰り返す信号の多い市街地や渋滞時にも、ドライバーの負担を大幅に軽減することができる。
もちろん、渋滞対応のアダプティブクルーズ・コントロール(ACC)では必須の装備だ。さらに、フロント用のEPBは、滑りやすい坂道での駐車時には、フロントアクスルのより大きな静的(前輪)荷重を使って車両を止めることができるため、より安全性を向上させることができる。
前輪用の電動パーキングブレーキのメリット
ZFのフロント・アクスル用EPBは、フロントキャリパーの構造を少しだけ変更することで導入でき、従来の小型車に装備されているリヤのドラムまたはディスクブレーキから手動式パーキングブレーキに必要な部品を省略できる。さらに電子構成部品やソフトウェアは、既存のESC制御ユニットに統合することができる。つまり、車両システムからリヤの手動式パーキングブレーキシステム分の重量を減らすことができるわけだ。
マンフレッド・マイヤー氏は、「超小型車用EPBは、これまで市場で実績を上げてきたEPB技術を他の車両や市場要件に適応させることができる、ZFの技術力を示すものです。電動パーキングブレーキのメリットを、より多くの車両セグメントで活用することができます」と語っている。
ZFは、2001年にリヤアクスル用の電動パーキングブレーキを業界で初めて量産した実績を持ち、これまでに出荷したEPBは、全世界で7800万台を超える車両に搭載されている。前輪用のEPBの登場により、出荷数はさらに増大するはずだ。
なおこのフロント電動パーキングブレーキは韓国と中国で間もなく生産が開始される予定だ。
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