欧州、中国では電動化が急速に進み、求められるソリューションにも変化が起き始めている。ドイツの世界的システムサプライヤーのZFは、早い段階から「ビジョン・ゼロ」を謳い、排出量ゼロ、事故ゼロを提案している。
プラグインハイブリッド
フランクフルトモーターショー2019では、道路交通におけるCO2排出量を直ちに削減できるソリューション、しかも既に市場投入可能な製品の数々を公開した。中でも注目は、ZFが提案する次世代プラグインハイブリッド車である、「EVplus」コンセプトカーだ。
プラグインハイブリッドでありながら、電気のみによる航続距離は100kmを上回り、日常利用では電気自動車として利用できる。搭載の内燃エンジンは、たまに長距離移動を行なう場合にのみ使うことになる。
具体的には8速ATに内蔵するモーター、パワーコントロールユニットを持つトランスミッションで、第4世代に進化している。従来の内蔵タイプのベースは8ATのトルクコンバーター部にモーターを組み込み、PCUは別の場所に設置する必要があった。
この第4世代はPCU自体がミッションケース内に組み込まれており、モーター駆動前提の8ATに変わった。モーターサイズは400Vの高電圧から48Vのマイルドハイブリッドまで、搭載するバッテリーサイズ、搭載する車両用途に応じて自由に変更できる拡張性をもった新世代トランスミッションだ。
2019年4月にお伝えしたBMWからの大規模受注のニュースでお伝えした8速ATで、IAA2019では実物を展示した。
※関連記事:ZF BMWから過去最大規模となる最新8速AT受注
モビリティライフバランス
ZFは、持続可能性と気候変動対策への取り組みと、人々にとって使いやすいモビリティの要件とを、技術の力で両立させるとしている。ZFは、7月に#MobilityLifeBalanceキャンペーンを立ち上げ、IAAにおいても、この点を明確に打ち出していた。このビジョンは、人々がそれぞれの人生観に適したモビリティサービスを利用できる世界を実現することだ。
ZFの展示ブースでの製品やテクノロジーの展示方法は、「CO2」と「安全」に集約した展示だ。つまり、ZFのキャンペーンである「モビリティライフバランス」はテクノロジーがモビリティ、人、気候変動対策を可能にすることを意味している。
モビリティの新コンセプト
市街地交通におけるCO2排出防止に向けた次の技術的ステップとして考えられるのは、自動運転のロボ・タクシーや、比較的新たなセグメントとして登場してきた配車サービス全般としている。特に都市部においては、個人向け車両を減らすことができ、しかも、利用者は、望み通りの目的地に便利に移動することが可能になるわけだ。
ZFでは、そうした車両向けの専用レーン設置というコンセプトを打ち出している。そうしたゾーンがあれば、さほどの複雑さもなく、また法的な制約を設けずとも、自律型車両が、今すぐにでも運行できるようになるという提案だ。
このような自動シャトルサービス用レーンを設ければ、都市や自治体は、既に利用可能なテクノロジーを都市中心部に短期間で導入でき、汚染レベルの低減が実現できる。環境に優しいという側面に加えて、運行コストの低さも、このコンセプトの魅力のひとつだ。こうすれば、既存のコンセプトで現在可能なレベルよりも、コスト効率の良い公共交通が提供できるとしている。
ZFは、今後5年間に、このセグメントの自動車市場が大きく成長し、全世界で150万台増加すると予想している。当社は、インテリジェントな制御電子装置、電気駆動装置をはじめとするシャシー関連テクノロジー、能動的安全システムや受動的安全システムの提供によって、この成長に貢献していくとして
いる。