2017年12月21日、グローバル・サプライヤーのZFは、2018年1月9日〜12日にネバダ州・ラスベガス市で開催される世界最大のコンシューマー・エレクトロニクス見本市「CES 2018」で、未来のコネクテッド・デジタルモビリティを実現する革新的なソリューションを出展すると発表した。
ZFとNVIDIAが共同開発するAI搭載の自動運転制御ユニット「ZF プロAI」を搭載することで、路上走行時以外でも自動運転のために重要な実走行データを蓄積・学習できる開発車両「ドリームカー」を展示。
このレベル3〜4までの自動運転を実現できるドリームカーの制御機能「ZF プロAI」は、ハードウェアとソフトウェアの双方がモジュラー形式になっており、用途や自動化のレベルに応じて拡張可能であるということが注目点だ。
ZFの新CEOのコンスタンチン・ザウアー博士は「当社が自動運転に取り組んでいる理由は、長期的に見て交通事故の大幅な削減に役立つと思われるからです。CES 2018では、量産体制がほぼ整ったソリューションをご紹介し、当社が自動車業界における信頼できる革新的サプライヤーであり、変化するモビリティ市場の新規参入企業にとって魅力的なパートナーであることを訴求したいと考えます」と語っている。
AI対応の「ZF プロAI」は、ZFとNVIDIAがCES 2017で提携を発表し、1年をかけた開発を経て量産が可能になったという。この「ZF プロAI」は、CES 2018の展示ブースでベールを脱ぐ「ドリームカー」の核心部分だ。ZFはドイツ、フリードリヒスハーフェンにある本社と同社研究開発センター間において実際にテストドライブを行ない、その走行で収集したセンサーデータをラスベガス会場の展示車両にリアルタイムで入力する。
CES会場の「ZF プロAI」を搭載した展示車両は、フリードリヒスハーフェンで走行を正確にトレースしてリアルタイムでデータを解析する。ステアリングやブレーキ、加速といったアクションがCES会場であるラスベガスから直線距離で9200km離れた場所で行なわれるのだ。こうしたセンサーデータを取り込むことでAIアルゴリズムをトレーニングでき、車両は実際に路上を走行することなく、交通状況の解析方法を学習する。この学習体験はその後、クルマからクルマへと移植することができるようになっている。
ZFはCESにおいて、その他の自動運転に関する技術を紹介する。革新的なステアリングホイール・コンセプトはドライバーのジェスチャーを理解し、グラフィックディスプレイやアダプティブ照明ライティングを実行する。またZFはパートナーとともに、マイクロペイメントサービス「Car eWallet」を開発している。このサービスによって、駐車料金など特定のサービスの料金をクルマが自動で支払えるようになるというシステムだ。
ZFはさまざまな企業との提携や共同プロジェクトを通してパートナー企業の革新的なソリューションとZFの先端技術とを融合させており、新しいモビリティ(移動手段)の開発企業ともパートナーシップを結んでいる。
スイスのリンスピード社がCESに出展する「Snap(スナップ)」には、「スケートボード」プラットフォームを提供している。これは、ブレーキ、電動ドライブ、環境センサー、オンボード車両制御用ハードウェア、ソフトウェアなど、革新的な駆動系とシャシー技術で構成されている。このZFのコンセプト「インテリジェント・ダイナミック・ドライビング・シャシ(IDDC)」は、ゼロエミッションでコネクテッドという未来の都市型モビリティに最適に適合することができる。