TRW カーテンエアバッグ用小型インフレーター、後席用エアバッグシステムを発表

12月1日からドイツで開催された「エアバッグ 2014 」
12月1日からドイツで開催された「エアバッグ 2014」

2014年12月3日、グローバル自動車部品メーカーで、アクティブセーフティ(予防安全)・パッシブセーフティ(乗員安全)システムの世界的リーダーでもあるTRWオートモーティブは、ドイツで開催された展示会「エアバッグ 2014」で小型・軽量化のメリットを持つ最新の火薬式インフレーターと、正面衝突の際に後部座席の乗員を保護する革新的な乗員拘束システムの概要を発表した。

■カーテンエアバッグ用インフレーター「SPI2 EVO」
TRWの最新型インフレーター「SPI2 EVO」 は、ヨーロッパ、中国の超小型車から中型車向けにTRWが提供する新しい軽量カーテンエアバッグに実装される予定だ。カーテンエアバッグ向けの「SPI2 EVO」は、従来モデル比で直径5mm、長さ50mmの小型化を実現し、重量は35%軽量化されている。

「SP12 EVO」を採用したカーテンエアバッグ
「SP12 EVO」インフレーターを採用したカーテンエアバッグ

「SPI2 EVO」は、2015年前半からラーゲ工場(ドイツ)、西安工場(中国)、メサ工場(米国アリゾナ州)で、グローバルに生産を開始する予定で、すでに自動車メーカー5社との間で計6件の開発契約を締結たという。

TRWの乗員安全システムのエンジニアリング担当副社長であるノーバート・カーガー氏は「TRWの新型インフレーター『SPI2 EVO』は、ヨーロッパ、アジア太平洋地域、新興市場で求められる要件に対応し、カーテン・エアバッグシステムの進化を促すものです。また、新型インフレーター開発において主要目標となっていた、軽量化を達成することができました。『SPI2 EVO』は、当社の確立された火薬式インフレーター製品ラインを基盤に開発されており、軽量化の実現により、燃費向上を目指す欧州および中国の自動車メーカーに対し明確なメリットを提供することができます」と語っている。

また、新コンセプトの後部座席の乗員を保護する乗員拘束システムは。後部座席用のエアバッグと、進化したシートベルトシステムを併用することで、後部座席の乗員が負傷する可能性を軽減することができるというものだ。

TRWの乗員安全システム部門インフレータブル拘束システム担当ディレクターのダーク・シュルツ氏は、「TRWでは、ドイツの交通事故調査データに基づき、1999年から2013年の後部座席乗員の受傷パターンについて分析しました。分析の結果、後部座席乗員の傷害の半数が前部座席に頭部を強打することによる衝撃、またはシートベルトによって胸部に加えられる高い荷重が原因であることが分かりました。つまり、正面衝突時における後部座席乗員の保護要件は、前部座席の乗員に対する保護要件とは異なっているのです。子どもから大人まで、後部座席に座る乗員は年齢も体格も大きく異なると共に、後部座席のスペースも前部座席の位置によって変化するため、後部座席乗員の保護は難しい課題とされてきました。しかしシートベルト、プリテンショナー、ロードリミッターを組み合わせたTRWの高度な乗員拘束システムを活用することで、後部座席の乗員が負傷する可能性を大幅に軽減することが可能となるのです」と語っている。

■ルーフ搭載型リヤシートエアバッグ
ルーフ搭載型リヤシートエアバッグは、乗員の幅広い年齢層、体格、前部座席の位置といった後部座席特有の環境に対応することができる。TRWでは5、50、95のパーセンタイルダミーを使用した静的、動的試験に加え、数多くの乗員シミュレーションを実施し、前部座席向けの「ルーフ・エアバッグシステム」のコンセプトを後部座席にも採用することに成功した。ルーフ搭載型の後部座席用エアバッグをリトラクタープリテンショナーと一定荷重で作動するロードリミッターと組み合わせることで、車内スペースが狭い場合や前部と後部座席との距離が近い状態でも、後部座席の乗員が前部座席に頭部を強打する恐れを軽減する。

ルーフ搭載型リヤシート用エアバッグ
ルーフ搭載型リヤシート用エアバッグ

■シート搭載型リヤシートエアバッグ
後部座席の乗員を保護するために、前部座席背面の後部座席に向いた側に後部座席用エアバッグを搭載する方式も検討されている。前部座席は前後にスライドして位置を調整できるため、前部座席の背面と後部座席乗員との距離は一定していないが、TRWの後部座席エアバッグはユニークな形状をしており、前部座席と後部座席乗員との距離に応じて調節が可能となっているのだ。前部座席がかなり前方にある場合でも乗員を保護することができ、後部座席に近い位置にある場合でも、乗員に高い荷重がかかるのを防ぐ。

シート搭載型リヤシート用エアバッグ
シート搭載型リヤシート用エアバッグ

なお、TRWは、ルーフ搭載型、シート搭載型のエアバッグの生産を2017年後半に開始する予定だという。

 

TRWオートモーティブ公式サイト

 

ページのトップに戻る