2014年9月15日、世界的なアクティブセーフティ、パッシブセーフティ・システムのサプライヤーであるTRWオートモーティブは、アメリカ・ミシガン州のテストコースで報道関係者向けに半自動運転機能のデモンストレーションを行なった。この試乗イベントへの参加者は、40km/hでの高速道路運転支援機能、自動ステアリング、自動ブレーキ、自動加速を体験した。
このデモンストレーションで使用された車両、オペル・インシグニアには、TRWのAC1000レーダーと次世代カメラのプロトタイプ、ベルトドライブ式電動パワーステアリング(EPS BD)、横滑り防止システム(EBC 460)を搭載し、アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)、車線逸脱警告 (LCA) ができるようになっていた。
ACCにより、前方に速度が遅い車両が現れたり、別の車両が車線に割り込んだりするまで、ドライバーが設定した速度で巡航走行することができ、速度が遅い車両の後方では、ドライバーが指定した車間距離 を維持するように自動的に加速、減速が行なわれる。同時に、前方監視カメラにより、車線の中央走行を維持して走行する機能も備えている。もちろんドライバーはいつでもこれらのシステムを無効化し、手動運転に戻すこともできるようになっている。
▲デモカーに装着された79GHzのAC1000レーダー(左)と、ベルト駆動式EPS
TRWの営業、事業開発部門上級副社長であるピーター・レイク氏は、「自動運転の普及に向けた最初のステップとして、渋滞時走行支援などの半自動運転機能を搭載した車両がすでに生産されています。しかしながら、法律や法的責任面での体制整備を含め、なすべきことはまだ山積しており、完全自動運転車両が普及するまでには、まだある程度の時間を要するでしょう。TRWでは実証済みのテクノロジーを活用し、実現可能なシステムを構築することで、自動運転の実現に向けた取り組みを着実に推進しています」と語っている。
さらに「TRWは世界で唯一の安全システムに特化したサプライヤーとして、システム統合によるソリューションの提供を目指しています。今回公開したプロトタイプ車は、このシステム統合におけるTRWの強みを具現化したものです。システムの柔軟性、拡張性により、自動車メーカーごとに異なる要件に合わせ、同じセンサーを異なる機能に活用することが可能です。一例として、プロトタイプ車に搭載された運転支援用のハードウェアは、緊急ステアリング支援機能として活用することもできます。さらに、TRWでは全方位を検知する360度センサーを開発中であり、今後、自動で車両の追い越しをサポートする車線変更支援に活用できます。向こう10年間において、運転のあり方だけでなく、自動車の安全性は大きく向上することになるでしょう」と述べた。