【TRW】ヨーロッパで24GHzレーダーの生産を開始 順次Cセグメントにも拡大を計画

アクティブセーフティ(予防安全)、パッシブセーフティ(乗員安全)システムの世界的なリーダーであるTRWオートモーティブは2012年9月18日、ドイツのハノーバーで開催された「IAA国際商用車ショー」で、24GHz前方監視レーダー(AC100)の生産をフランス、ブレスト近郊のオートクルーズ工場で開始したと発表した。TRWは世界の大手自動車メーカーの商用車、乗用車を対象にした新型の近距離レーダーの提供を開始するとしている。

周波数24GHzレーダー(AC100)は、車間距離警告、衝突警告やシートベルト・プリテンショナーシステムの作動、ブレーキシステムとの統合による停車追従付きアダプティブクルーズコントロール(ACC)、プリクラッシュ、プレフィル・ブレーキ、アダプティブブレーキアシスト、自動緊急ブレーキ(AEB)など、安全で快適な運転を支援するための、様々な機能を提供することができるレーダーシステムだ。

TRWのAC100は、同社の従来製品77GHzレーダー(AC20)とほぼ同様の機能を持つが、大幅な低価格化を実現。これは主に動作周波数を低め、より幅広い車種に採用できるように機能の最適化を図ったことによるものだ。

AC100は約150mの距離で車両を検知でき、高速道路を含むあらゆる道路状況に対応できる。そのため、レーザーセンサーのシステムとは異なり、AC100のレーダーは霧や豪雨などの悪天候下でも優れた機能を発揮する。

TRWの運転支援システム担当ディレクター、ピーター・オースティンは次のよう語っている。「欧州において、2013年11月に予定されている新型トラックへの自動緊急ブレーキ(AEB)搭載の義務化や、ユーロNCAP(欧州の安全性能評価基準)の今後の厳格化など、自動車業界を取り巻く環境は大きく変化しています。こうした流れに従い自動緊急ブレーキに欠かせないレーダーなど運転支援機能の搭載が今後ますます促進されていきます。TRWは、まずトラック用プラットフォーム向けにAC100の提供を開始し、その後欧州のCセグメント乗用車へと搭載を拡大する予定です」

さらに、「レーダー技術を駆使した運転支援システム(DAS)は、交通安全強化を目指した欧州委員会の取り組みとも合致し、さらなる安全性強化を推進する上で重要なステップとなります。TRWはレーダー技術開発への投資を継続的に行っており、360度の全方向検知能力によって、安全性および利便性を高める様々な機能を持つ、次世代レーダープラットフォーム(AC1000)の開発も進めています。TRWはこのような技術開発を通じて、自動車メーカーの安全規制や顧客ニーズへの対応を支援するとともに、すべてのプラットフォーム、すべての市場に向けて先進の安全システムを手頃な価格で提供して行きます」と語った。

なお、24GHz周波数のレーダーは各国で規制が異なり、日本、ヨーロッパでは電波望遠鏡の周波数と干渉するため使用が制限されている。すでに近距離用の24GHzレーダーを採用している車両はナビの地図情報を取得し、電波望遠鏡の20km圏内ではレーダー電波を自動停止するシステムを採用して対応している。そのため、近い将来には自動車用レーダーセンサーは26GHz、79GHz周波数帯への移行が検討されている。

TRWオートモーティブ公式サイト

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