2012年7月30日、アメリカの自動車部品メーカーのTRWオートモーティブは、第2世代の歩行者保護システム(PPS)を発表した。歩行者との接触を正確に検出する加速度・圧力検知技術を装備したこの次世代PPSは、一段と信頼性の高められたシステムとなっている。
TRWの新しいPPSシステムは、柔軟なチューブに内蔵された圧力センサーがフロントバンパーの幅全体に装備され、そのデータと3個のリモート加速度センサーを通じて歩行者との衝突を検知する。歩行者のどの部分に接触したかを検知した上で、歩行者の頭部保護用のアクチュエーター、すなわち火薬式アクチュエーターを作動させボンネット・リフター動かす仕組みだ。
このシステムは、車両の衝突安全性の評価で歩行者保護性能の割合が20%を占める、ヨーロッパの基準(EURO NCAP)においては、自動車メーカーが5つ星の安全評価を獲得するために大きな役割を果たす。
TRWは2009年以来、ポルシェ社向けに第1世代のPPSを製造しており、その後、クライスラー社に対しても同様のPPSシステムを提供している実績がある。
今回発表されたTRWの第2世代のPPSシステムは、第1世代と同様の機能を備えた上で、さらにより向上したチューブ式センサーが加えられているため、システム全体の性能が向上している。この新しいシステムは2016 年までに量産化される予定だという。
TRWのセールスおよびビジネス開発部門上級副社長のピーター・レイク氏は次のように語っている。
「自動車業界全体をあげて、交通事故による負傷を減らすことを目的として活動しているため、成熟市場においては死傷者数は減少しています。しかし、その一方で歩行者の死亡者数は世界的に増加傾向が見られます。自動車の乗員以外の歩行者や道路利用者が世界の交通事故死者数に占める割合は35%に上るとされ、アクティブセーフティ・システムとパッシブセーフティ・システムの両面で歩行者を保護する能力を高めることが非常に重要な課題となっています。特に多くの成熟市場では、乗員の死亡率が大幅に減少している一方で、歩行者の死亡率は従来からのレベルのままで、交通事故死者数の中で歩行者の占める割合が増加していることから、今まで以上に自動車業界は歩行者の保護に比重が置かれることになると思います」