2011年にオールニューモデルとして登場したポルシェ911(タイプ991)カレラ、カレラSのトランスミッションは7速PDKまたは7速のMTが選択できる。このMTは乗用車用としては世界初の7速ギヤを装備しているが、開発・製造元であるZF社からこのほど概要が発表された。
この7速MTは、既存のデュアルクラッチ・トランスミッションである7速PDKをベースに開発されており、ユニットのパッケージはPDKと同じサイズとされている。また当初からPDKとMTはモジュール設計とされているため、内部のギヤなどのパーツも共用化しているのが特徴。もちろん軽量で優れた伝達効率が与えられている。
ギヤ比は、PDKが3.91/0.68であるのに対し、MTは3.91/0.71で、3速と7速のギヤ比だけが異なっている。最高速は0.88のギヤ比を持つ6速で達成され、7速はクルージングギヤとされ、巡航時の燃費を低減する役割を持つ。またスタート&ストップ機構に対応している。
クラッチの直径は、PDKが202mm/153mmの2枚であるが、MTは240mm×1である。このMTはポルシェにふさわしい変速品質に仕上げられ、心地よいスポーツシフトが実現していることはいうまでもない。
構造的には、7速PDKの部品を流用しながら、2軸変速システムとし、さらにH型パターンのマニュアルシフトに適合するギヤシフト機構を採用。シフトレバーとはワイヤーで連携されている。またシフトミス防止機構が新たに採用され、7速からのシフトダウンは6速または5速にしか入らないようになっているのも特徴だ。
なおZF社は、新型ポルシェ911用として、トランスミッションだけではなく樹脂製の軽量ペダル、サスペンションのブッシュ類、電動パワーステアリング(ZFレンクシステムズ社)も供給している。