2015年10月8日、ZF TRWは、統合ブレーキ・コントロール(IBC)システムに関して初の量産契約を締結し、2018年から量産を開始すると発表した。ZF TRWのIBCシステムは、バキュームシステムに依存しないブレーキ技術で、ブレーキシステムのシンプル化とブレーキ性能の向上を実現している。
IBCは、2015年8月の時点でドイツ・ベルリン郊外で試乗テストし、その存在をZF TRWの最新技術レポートとしてこちらに載しているが、ついにその詳細が公開された。
IBCは、従来のブレーキシステムであるバキュームブースター、関連ケーブル、センサー、スイッチ、電子コントローラーからなる横滑り防止装置(ESC)などの機能を単一のユニットに統合した最新のブレーキbyワイヤーのシステムである。このIBCは、非常に拡張性に優れたソリューションで、小型のAセグメントから大型のSUVまで、幅広いセグメントでブレーキシステムに求められる要件に対応できる。
システムの中核となるのが、超高速モーターによる油圧アクチュエーターだ。モーターによりブレーキ油圧を高め、0.15秒で1Gの減速度が得られる制動圧を発生し、制動距離の大幅な短縮を実現できる。このIBCの特長は、歩行者と自転車が混在する都市部の交通環境に対象としたユーロNCAPのテスト基準に対応する上でも、非常に重要なのだ。
さらに、IBCはパッケージングと重量の面でも大きなメリットを持ち、従来の同等のブレーキシステムと比較して25~30%軽量化されている。
ZF TRWのブレーキシステム部門副社長であるマンフレッド・メイヤー氏は「ZF TRWの統合ブレーキ・コントロールシステムは、次世代のブレーキシステムを代表する技術で、あらゆるパワートレーンに適合するだけでなく、ハイブリッド車や電気自動車の回生ブレーキシステムを統合することもできます。加えて、自動緊急ブレーキのような高い動的性能が要求される場合でも急速な制動が可能で、高い安全性の提供につながります」さらに、「IBCは、半自動運転あるいは完全自動運転機能に求められる制動時の車両制御や停止に関するあらゆる要件をサポートできます」と語っている。