世界有数のティア1企業であるTRWオートモーティブ社は、アクティブ(予防安全)、パッシブ(乗員安全)のセーフティシステムの世界的リーダーであり、静止または、移動物体との衝突前にドライバーのブレーキ動作をサポートする衝突軽減ブレーキシステムを開発した。
レーダーを活用した衝突軽減ブレーキシステム
システムの概要は、車両の前方にある対象物との車間距離及び、相対速度を直接計測するレーダーセンサーを採用し、衝突の危険性を感知すると音声または、リアルタイム画像で、あるいはハンドルを振動させドライバーに警告する。
万が一ドライバーが警告に反応しない場合には、自動的に一定のブレーキ圧をかけて減速し、衝突の衝撃を緩和する。また、警告に反応しブレーキペダルを踏み込んだ場合は、ブレーキブースターが最大に働き、できるかぎり早く車両速度を落とし衝突を軽減するように作動する。
この衝突軽減ブレーキ技術の設計には、特に渋滞が予想される市街地が考慮され、6〜7mで作動し、衝突が発生する前に、20km/h(12.4mph)減速される。一般的に対象物との相対速度が20km/h以下である場合に役立ち、20km/h以上のときは衝突の衝撃を軽減できる。
レーダーは、TRWが独自に開発した24GHzレーダーで機能範囲は最大150mあり、高速道路など160km/h(99.4mph)以上の高速運転をはじめ、アダプティブクルーズコントロール(ACC)の運転サポート機能にも対応している。
衝突回避技術はボルボやメルセデス、BMW、アウディと積極的に取り組んでおり、日本でもスバルがアイサイト技術を使ったブレーキシステムがある。ただ、日本では近接を受信する24GHzのワイドが認可されていないことやロバスト性がキーになるだろう。今回のシステムは欧州やアメリカで販売される車両が対象となり、77GHzレーダーより安価な分、より多くの車両に搭載されてくるシステムだ。
TRWオートモーティブについて
アメリカミシガン州リボニアに本拠地があり、26カ国で自動車部品サプライヤーとして事業展開している。従業員数は世界で約6万4000人。主要製品は車両コントロールシステム、ドライバーアシストシステム、ブレーキシステム、ステアリングシステム、サスペンションシステム、セーフティ(シートベルト、エアバッグ)システム、エンジンコンポーネントなど。
文:編集部 高橋アキラ