ヨコハマタイヤのスポーツタイヤ「アドバンスポーツV107」を装着してみた。V107はV105の後継モデルで以前マイカーにも装着していたタイヤだ。それだけに比較しやすく、性能の違いを感じることができたのでお伝えしよう。
このアドバンV107の位置付けは、一般道走行をメインに据えたスポーツタイヤのトップモデルになる。その最新モデルがV107だ。
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まず最初に目に入ったのがサイズ感だ。もちろんタイヤサイズに変更はなく同じ車両に装着しているのだが、V105は表記サイズよりも若干幅が狭く見えていて、性能というより見た目が少し気になるポイントだった。しかし、V107はホイールとの関係性もよく、細すぎず、太すぎずがなくちょうどいいサイズ感になっていた。
装着してから100kmほど慣らし走行を行ないタイヤに必要以上の負荷がかからないように走行。そして雨での、レイン性能も体験しその向上を実感したのだ。
V107は非対称トレッドパターンを採用しており、幅広のストレートグルーブで排水性の向上と高速走行時の耐ハイドロプレーニング性が向上しているタイヤという説明。それが実際に高速道路を走行すると実感できるのだ。排水性の高さはハンドルを握りながら感じるが、道路の轍に僅かに水が溜まった場所に突っ込んでもハンドルを取られたり、車両に影響するような動きが生じない。何もなかったかのように轍を通り抜けていくのだ。
もともとヨコハマタイヤはウエット性能のレベルが高い市販商品を多く持っているが、このスポーツタイヤのトップモデルでもレインに強いことを実感したのだ。
そしてドライ路面の高速走行では「タイヤが円い」と感じさせる滑らかさがある。タイヤが円いのは当たり前だと思うだろうが、高速で回転する時の真円率にはじつはバラツキが存在する。ハイスピードになればなるほど円いタイヤは重要な性能になるわけで、アドバンが欧州でも人気があるのが納得できる。
タイヤが円いと滑らかさとして感じられ、タイヤの転がり抵抗の少なさとしても感じ取ることができる。これはステアリングとシート、アクセルペダルでその気持ちよさを誰もが感じられる性能だ。
ワインディングを走ってみると、タイヤの剛性の高さが気持ち良い。ロードノイズも控えめでしっかりと横剛性があり、安心してコーナリングに入っていける。特に操舵初期のレスポンスが気持ちよく、スッと反応するのでジワリとステアしていく気持ちよさがあるのだ。
唯一気になるポイントはハーシュネスで、路面の凸凹が大きい場所や橋などの継ぎ目ではやや突き上げが感じられるものの、コーナリングの気持ちよさを考えると、そこは相反条件なのかもしれない。もっともスポーツタイヤに求める性能で乗り心地の優先度はやや低いと個人的には考えているので、満足できるレベルなのは間違いない。
さて、これらの性能はどうやって産み出されたのか。ひとつにはHAICoLabo技術があると思う。これは2020年にAI利活用構想でわれわれは知ることになったが、2021年にタイヤ開発で実用化している技術だ。簡単に説明すると、エンジニアがゴムの配合設計パラメータを入力すると、AIが予測される配合物性値を出力してくるもので、膨大な過去のデータをベースにAIを活用して開発していく技術というわけ。
つまり、何億とある組み合わせをコンピュータに計算をさせるが、HAICoLaboのデータはポイントが絞られてくるのでビンゴ!な配合を作りやすいというわけだ。
もちろん、構造でも進化しており、横浜ゴムが独自開発したパワークラウンベルトによりプライの競り上がりを防いだり、そのプライも二重構造のマトリックスとし、高剛性のアラミド繊維を一般スポーツタイヤに初採用するなど、レーシング技術からのフィードバックもされている。これが高速で滑らかに感じる秘訣でもあるわけ。
それと、大きいのは接地面圧が均一になったことがあると思う。これはV105に対して、より均一になったという意味で、リブ断面の形状変更により、タイヤの外側と内側、中央が均一な接地圧になっているのだ。これが直進の座りの良さや操舵応答の初期反応などにも好影響していると感じる。
もちろんコンパウンドも開発され、強大なグリップを生み出すための材料進化がある。これはシリカやポリマーといった分子レベルの結合のさせ方に技術が投入され、ハイグリップ・コンパウンドを産み出している。
こうした新技術の投入と進化によりアドバンスポーツV107は作られており、スポーツブランド、スポーツグレードの車両には最適な組み合わせだと感じるおすすめのタイヤだ。
協力:タイヤガーデン三ツ沢店