BMW ランフラットからノーマルタイヤのアドバンV105へ履き換えた

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F30型のBMW328iの純正ランフラットタイヤをADVANスポーツV105に履き替えてみた

標準装着のタイヤがランフラットとなっているモデルが年々増えているが、摩耗やバーストなどにより交換が必要となった場合、みなさんはどうしてますか? 悩みどころですよね。<レポート:髙橋 明/AkiraTakahashi>

◆ノーマルタイヤ履けます
今回、タイヤ交換のモデルとなったのはF30型のBMW328i。標準装着はランフラットタイヤで、タイヤサイズは225/45R18。純正装着の銘柄は複数あるようで、モデル車はグッドイヤー社製を純正装着していた。走行距離は3.6万kmで、まだスリップサインが出るほど摩耗しておらず5分山程度は残っている。

履き換えたのはヨコハマタイヤのプレミアム・スポーツタイヤ「ADVAN Sport V105」。もちろん純正と同サイズを装着した。

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ランフラットタイヤが純正装着されている一部のモデルでは、専用リムを採用していたため、交換の場合でもランフラット以外が装着できなかった。しかし、現在はノーマルタイヤも装着できるように変更されているモデルが増えている。現行モデルのBMWF30型はノーマルタイヤの装着が可能だ。ただし、ノーマルに履き替えた場合、スペアタイヤがないため、パンク修理キットを車載する必要がある。

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ランフラット用のリムには内側に脱落防止用の膨らみがある

以前のモデルはなぜノーマルタイヤが装着できなかったのか? と言えば、エアが抜けても走行できるようにサイドウオールをはじめ構造的にノーマルタイヤと違う造りにしているのがランフラットタイヤ。エアが抜けた状態で走行するとタイヤがリムのミミからはずれてしまうものだが、ランフラットはミミから外れないように、リムの形状を変えることで脱落を防いでいた。そのため、ノーマルタイヤが装着できなったわけだ。対策後はそのリム形状を、ノーマルホイールなどと似たような形状にすることで対応している。したがって、ランフラット装着車でもノーマルタイヤに履きかえることが可能になったのだ。

◆ハンドリングに影響は?
さて、次に都市伝説?のように言われる「ランフラットで車両開発しているから、ノーマルに履き替えるとハンドリングに悪影響がでる」という噂だ。そこが今回のポイントとなるところ。

まず装着を終え、ショップから乗りだした瞬間に歩道との段差を越えた瞬間、当たりが柔らかくなったと感じた。瞬間的な大きな入力に対して、ソフトな印象になったのだ。そして市街地を走ると、走行ノイズが小さくなったことにも気付いた。もっとも、ロードノイズを5分山だったタイヤと比較するのは少し無理があり、単純に新品に交換したら静かになった、ということかもしれない。比較する根拠は5分山のグッドイヤー製ランフラットと新品のアドバンスポーツV105だ。

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新品から1000km程度走行してからのワインディング試乗

その後、数100km走行し、1000km程走行したのち、箱根でいつもの試乗コースを走ってみた。新車試乗会で走行するワインディングでのインプレッションだ。BMWの魅力のひとつであるハンドリングにおいて、アドバンスポーツV105は存分に魅力を引き出しているか?という不安だが、一蹴された。初期応答もよく狙ったラインにノーズを向け、グリップし、コーナーを駆け抜ける。

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箱根のいつもの試乗コースは、スポーツドライブを楽しむクルマが多い

サイドウォールがソフトになっただけに腰砕けになるようなことは、微塵も感じない。これまで通りコーナリングフォースを受け止め、綺麗にヨーモーメントを発生する。ロールも自然にあり、いつも通り。急制動や強めの横Gを敢えて試しても、なにも不安はない。往復の高速道路ではロードノイズが下がったこと、乗り心地がよくなったことがあり、メリットを感じた。

こうして考えてみると、より究極な状況でテストを繰り返すとランフラットのとの違いが浮き出てくるかもしれないが、それは間違い探しのようなもので、一般的にBMW好きのユーザーでもノーマルタイヤで満足できる結果になると思う。強いて考えられるのはタイヤそのものの重さが軽くなるので、その違いがどこかに出る可能性はある、ということぐらいか。常識的にはバネ下重量が軽くなれば、乗り心地がよくなる、ハンドリングが軽快になると言われている。ネガな面が何に出るのか予測できないが、軽量さゆえのバタつきの可能性ぐらいしか想像できない。

◆アドバンスポーツV105とは?
では、BMWの魅力を存分に引き出してくれたアドバンスポーツV105とはどんなタイヤなのかを少しスタディしてみよう。

ポジショニングとして、アドバンスポーツV105 はハイパワーのプレミアムカー向けフラッグシップの位置付けで、超高速域での走行性能、高性能セダンが要求するウエット性能や静粛性、安全性、快適性にこだわって開発されたフラッグシップタイヤという位置付けになっている。2012111615tr00201

ヨコハマタイヤで最もスポーツ性に特化したタイヤがアドバンネオバAD08Rで、アドバンスポーツV105 はNEOVAより高速安定性を高めた上に、コンフォート性に配慮した性能を持っているハイパフォーマンス・タイヤだ。横浜ゴムのラインアップとしてはさらにコンフォート性能、燃費性能、ウエットグリップに注力しているADVAN dbやブルーアースシリーズ、ECOSシリーズなどがある。アドバンスポーツV105は極めてオールラウンドなスポーツ性能が高いプレミアム・ハイパフォーマンスタイヤなのだ。

特徴としては横浜ゴムの開発した新構造を採用したことにより、俊敏なハンドリングに自信があり、タイヤ剛性の最適化により快適な乗り心地も確保している。そして欧州の高級スポーツセダンをターゲットに開発しているというのもポイントになるだろう。

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ウエット性能やドライグリップ性能では4本の主溝を基調とする非対称トレッドパターンと専用開発された温度依存性の低いトレッドコンパウンドの組み合わせで、強力なグリップを発揮。300km/hを超える超高速域での安全性を実現するため、タイヤ構造は専用設計としているのも注目だ。

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極太の3本ブルーブを組み合わせたV105 専用非対称、非方向性パターンは、欧州の自動車メーカーとの共同開発で、ドライとウエットがともに鍛え上げられている。アウト側はドライ性能を重視し、ブロック面積を大きく確保。イン側では溝面積比率を高めることでウエット性能を強化している。

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コンパウンドでは、V105専用に欧州自動車メーカーとの共同開発し、開発当初、スタッフに与えられた使命は「世界一のゴムをつくること」だそうだ。さまざまな材料と配合バランスがシミュレーションされ、かつてないほどにグリップ力を進化させた新コンパウンドが完成しという自信作でもある。

◆後記
ちなみに、ランフラットの履き換えをした場合、グッドイヤーで同じものの履き換えでタイヤ代約23万円、ブリヂストンで19万円台だった。ディーラー購入しようとすれば、このタイヤ価格に組み換え工賃、脱着工賃、廃棄料がかかり、タイヤ専門店より2倍以上の工賃はかかってしまうこともわかった。

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タイヤ専門店がやはり安心。ディーラーから専門店へ組み換え依頼もある

取材協力:タイヤガーデン代沢店 http://www.tire-garden.jp/

ADVANタイヤ関連情報
横浜ゴム公式サイト

COTY
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