横浜ゴムは2021年2月15日、AIを活用したゴムの配合物性値予測システムを独自に開発し、タイヤ用ゴムの配合設計での実用を開始したと発表しました。
この予測システムにより、膨大な仮想実験が可能となるため、開発のスピードアップやコスト削減、高性能な商品の開発に加え、経験の浅い技術者による配合設計も容易になることが期待できます。
今回のシステムは、横浜ゴムが2020年10月に策定したAI利活用構想「HAICoLab(ハイコラボ)」に基づいて開発されています。
人間がゴムの配合設計パラメーターを入力すると、AIが予測される配合物性値を出力。さらに人が予測した結果を判断しやすくするために、予測値の確さを表示する機能や、目標とする配合物性値に近しい配合を探索する機能を付加。人とAIがコラボしながら新たな知見が得られるシステムとなっています。
「HAICoLab」は人間特有のひらめきや発想力とAIが得意とする膨大なデータ処理能力を活かした「人とAIとの協奏」によってデジタル革新を目指す構想です。
人が設定する仮説に沿ったデータの生成・収集とAIによる予測・分析・探索を繰り、返すことで未踏領域での知見の発見を目指しています。
横浜ゴムは、これまでにも2017年にマテリアルズ・インフォマティクスによるゴム材料開発技術、インフォマティクス技術を活用したタイヤ設計技術を発表するなど、材料およびタイヤの設計開発プロセスでAIを活用した技術開発を進めてきました。
現在は「HAICoLab」の下、プロセスに加え製品やサービスなどの革新を目指し、AI利活用を推進しています。
今後はタイヤだけではなくホースやコンベヤベルトなど、多岐にわたるゴム商品開発での利用も開始されます。