ヨコハマタイヤ BlueEarth 4S AW21 オールシーズンタイヤは本当にオールマイティか【動画】

今日はヨコハマタイヤから発売された新商品、オールシーズンタイヤの「ブルーアース4S AW21」の試乗テストドライブの日だ。

本当にオールマイティか?

オールシーズンタイヤということは、読んで字の如く四季を問わず使えるタイヤ。雨でも雪でも、もちろんドライでも走れるという意味だが、じつは、このタイヤを今冬、北海道にある横浜ゴムのテストコースで試乗させてもらっている。雪上走行に加え室内にある氷上コースでも試乗している。その時のレポートは掲載しているので参考までにご一読頂きたい。
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テスト車はプリウス。B、Cセグメントの量産モデルがターゲットか
 

正直に言うと、雪上での走行性能には驚かされていて、「雪道でこのレベルがあれば、東京などの非降雪エリアだったら、全く問題ないなぁ。たとえ雪が降ったとしても普通に走行できるし、スノーフレークマークがあるからチェーン規制も問題ない」と魅力を感じていたのだ。

「このレベル」というのは、コーナーで外側フロントタイヤが滑り出すポイントが最新のスタッドレスより若干早いタイミングというレベル。大きな荷重をかけない様な走り方をすればスタッドレスと遜色ないレベルとも言え、雪上性能の良さを体感している。

雪上ではタイヤに負荷をかけないというのが基本的な走り方だけに、余計「これで十分だろう」と感じていたわけだ。もっともアイスには弱点があった。インドアにある氷盤コースでのブレーキ、加速テストでは思う様には走れなかった。

しかし一方では「このレベルまで雪上性能を上げていると、夏の舗装路はロードノイズとか、横剛性などが課題に残っているのではないか?」という懐疑的部分も気持ちの中にはあった。

V字ダイバージェントグルーブという独自のトレッドデザインが目をひく

オンロードテスト

そこで今回のドライでの試乗テストでそのレベルがわかったわけだ。テストにはラジオ番組「ザ・モーターウィークリー」のDJアシスタントの山下麗奈さんとディレクターを乗せて高速道路と一般市街地を走行してきた。そして同乗の二人には、タイヤテストの試乗ということだけを伝え、どういう性能のタイヤであるかは伝えていない。

左)DJの山下麗奈さん、右)オートプルーブ高橋明

撮影のために到着した場所でさっそく二人に話を聞いてみると、麗奈さんからは「乗り心地もよくて、段差を乗り越えたときのショックも柔らかく、とてもいい印象でした」と言う。ノイズについても聞くと「特に気になることもなく、普通に車内で会話できるし、何も問題を感じません」というコメントだ。

一方のディレクターは26歳男子、普段は都内をバイクで走り回り、音声の編集を毎日こなしているだけに「音」には敏感なハズ。

「雪道も走れるタイヤなんですか?すごいですね。そういうタイヤだってまったく知らなかったので、普通のタイヤだと思ってました。音についても特段普通のタイヤと何が違うのか全くわかりません」とコメント。

全てのユーザーにおすすめできる

この一般的なユーザーのコメントのように、タカハシも同様の印象だった。付け加えるならハンドルを握った印象として、操舵初期の応答性も問題なく、またコーナリングで荷重をかけた時の剛性感もあり、スタッドレスタイヤをドライで使った時のあの柔らかさ、コシのなさといったフィーリングはない。まさに夏タイヤのフィーリングに近いレベルだった。もちろん、高速道路の走行時のロードノイズも全く気にならなかった。

もっともワインディングのような場所で、ある程度の速度域で走行したときの剛性感やグリップ感は今回テストしていない。だが、そうした「走り」をターゲットとしたタイヤでもなく、日常的な使い方でテストするのがベストだと考えたからだ。

乗り心地、ロードノイズ、剛性感、グリップ力といったポイントではサマータイヤとの相違はないと言えるだろう。残るチェックポイントは、ウェット性能と耐摩耗性といったところだろうがスタッドレスでも4年経過で著しい劣化がないアイスガードシリーズを考えれば、課題になるとは考えにくい。

したがって、このブルーアース4S AW21がおすすめできるターゲットは、まず、非降雪エリアの人には大変有効であり、突然の雪にも対応できるので安心。たまに行くスキー場へだってアクセス可能なタイヤだ。そして北海道などの降雪エリアの方なら、夏タイヤとしておすすめだ。つまり、スタッドレスへの履き替えの時期を遅らせることができ、夏タイヤに戻す時期を早めることができるからだ。

またクルマの使い方としては日常的な一般ドライブをする人向け。つまり、誰にでもだ。ドライグリップで不満を持つという人は、それなりの走り方を普段からしているユーザーだと思うし、そうした人はアドバンV105などを選択しているだろうから、ターゲットにはならない。サイズは14インチから19インチまでで、一般的なサイズの車両用には適合するラインアップで、スポーツカー向けのサイズはない。

なぜ、夏と冬で使えるのか

ここからは雪上性能やドライ性能をどのように形成しているのか、搭載技術から性能をみてみよう。

氷雪性能の向上というポイントでは圧縮抵抗と雪柱せん断力があり、圧縮抵抗ではタイヤが回転するときの雪による抵抗力がある。そして雪柱せん断力では、タイヤの溝で踏み固めた雪の柱を排出する時の力が必要とされる。そのために、エッジ効果として溝とサイプがポイントになる。この溝とサイプはスタッドレスタイヤの技術を投入して対応しているわけだ。

またコンパウンドが影響する凝着摩擦力も同様にゴム表面が路面と密着する力が必要とされ、接触面積が大きいほど効果は大きい。そのためエッジと接地は二律背反になるが、スタッドレスのノウハウとドライタイヤのノウハウをミックスすることでオールシーズンを成立させているわけだ。

目を引くトレッドデザインは、V字ダイバージェントグルーブという名称を持ち、雪とウェットには、あらゆる方向からのエッジ量を確保し、主溝からの分岐で排雪、排水をする。また交差溝で雪柱せん断力を確保させている。またショルダー部の大型ブロックがタイヤの剛性を確保し操安性を向上させている。また3Dサイプは、スタッドレスにも採用しブロックの倒れ込みを抑制させる技術として採用されている。

コンパウンドでは、2種類のポリマー、スノーグリップポリマーとウェットグリップポリマーをバランス良く配合してスノーとウェットの性能を確保。さらにシリカ分散を向上させてゴムのしなやかさを維持していることとマイクロシリカの配合も雪と雨に効果を上げている。

これらの搭載技術により夏場から雪道まで対応する、まさにオールマイティな性能を持つタイヤが誕生している。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>

サイズ表

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