出光興産は2023年6月29日、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)などの駆動ユニットに使用可能なオイル「E AXLE and Electric Parts Cooling Oil」を開発したと発表した。
従来、e-Axleにおいてはモーターの冷却性と、減速機の潤滑特性がオイルに求められてきたが、今回の製品はオイルによる冷却対象をモーターだけでなく、バッテリー、PCUなど、その他電子機器に拡大し、オイルで直接冷却する「E AXLE and Electric Parts Cooling Oil」を開発した。
e-AxleとはEV・HEVに採用が進んでいるモーター、パワーコントロールユニット(PCU)、減速機が一体化されたユニットだ。
そのe-Axleはもとより、EV・HEVのモーター、電子機器、バッテリー、ギヤ、ベアリングなどは、性能維持のため冷却および潤滑が必要である。そして、それら機器類の冷却媒体は、冷却水(LLC)、e-Axleオイル、またはバッテリー冷却オイルと複数の冷却媒体を用いた設計が検討されているが、システム回路が複雑化することが課題となる。
出光は、開発現場における冷却回路の簡素化による部品点数削減や室内空間の確保、油種の統一化に寄与することを目的に、「E AXLE and Electric Parts Cooling Oil」を開発した。
今後は、国内外自動車メーカー、ティアT1(1次サプライヤー)向け商品として提案・販売を強化していく計画だ。
さらに出光興産は、今回開発した新オイルを含め用途に応じた6カテゴリーの商品をラインアップし、電動技術をサポートするとしている。
出光はモーターの支軸、ハブベアリング/ボールジョイント向けに、グリース「IDEMITSU NANOUREA」を、そしてダンパー向けに「IDEMITSU Original Shock Absorber Fluid」を新しく開発。
これらはエンジン音のない電動だからこそ求められる高い静粛性や省エネ性、低摩擦特性に特化している。
展開中のe-Axle専用オイル「IDEMITSU E AXLE FLUID」シリーズにも、減速機向け「IDEMITSU E AXLE FLUID TYPE-G-LV」、モーター材料の適合性に特化した「IDEMITSU E AXLE FLUID TYPE-C-MV」、モーターの冷却とギヤの潤滑向けに兼用できる省エネ性能を付与した「IDEMITSU E AXLE FLUID TYPE-C-FE」を追加している。
さらに、さまざまな冷媒やシステムに適合可能な冷媒ガス圧送コンプレッサー用オイル「DAPHNE HERMETIC OIL SERIES」も新しくラインアップするなど電動化時代に向けた最新製品を展開している。
■ 製品ラインアップ