2012年8月7日、自動車部品大手ティア1のシェフラーグループは、クルマの軽量化に貢献する新たなマニュアル・トランスミッション用の製品、4種類を発表した。シェフラーグループは、こうした軽量化部品を送り出すことでさらなるクルマの軽量化を推進し、低炭素社会の実現を達成するとしている。
<軽量セレクター・ハブ>
マニュアル・トランスミッションに使用されるセレクターハブは、従来は焼結合金製であったが、このほどシェフラーが開発した軽量タイプは、シート・スチール製で焼結合金製より25%軽量になっている。この構造は、2分割でプレスされたスチール製のハーフシェルを一体化する形になっている。このスチール板金製のセレクターハブは軽量化しただけではなく、従来の焼結合金製より大きなトルクを伝達できるようになっているのも特筆できる。
<ハイブリッド設計のギヤシフトフォーク>
マニュアル・トランスミッション用のギヤ・シフトフォークは、異なる構造をうまく組み合わせて使用するハイブリッド構造とすることで、より効率的、より軽量化を実現した。従来のギヤ・シフトフォークはスチール製であったが、シェフラーの新型ギヤシフトフォークのボディはアルミニウム製、シフトセレクターと噛み合うプレート部は、ファインブランキング(精密打ち抜き)加工された鋼板で構成されるハイブリッド構造としている。
組み立て工程において、このプレート部は、ねじ止めによって正確に配置され、ギヤシフトフォークに接合されることにより、部品の公差として、許容できるレベルに補正される。またこのアルミ製ギヤシフトフォークは、従来のアルミ製のように多工程の鋳造や再加工は不要で、軽量化、コストダウン、さらには搭載スペースの縮小に貢献する。
<シフトマス>
特徴としては、ギヤシフト操作を滑らかにするためのシフトマスも、より軽量化がはかられていることだた。従来のシフトマスは、質量の大きいスチール製部品で構成され、慣性質量を生かすことでギヤシフト操作時のピーク力と振動のバランスを取っていた。
しかし、シェフラーはより軽量なシフトマスを2種類開発した。こその結果質量は約70%も軽量化しており、いるが、これを実現するためにシフトマスモジュールには、最新のギヤボックスシステムを採用している。システムの中核をなすのは、非常に高いギヤ比を持つ2段遊星減速機で、摩擦クラッチにより、過負荷時のプラスチック歯への負荷を減らし、長寿命をも実現している。
またこのシフトマスは、従来のシフトマスの重量配分の改善も行っている。つまり、マスの実際の質量を軽量キャリアの外側にかけることで、レバー動作を最適化しているわけだ。軽量キャリアはアルミ製、またはプラスチック製で、ギヤシフト力を伝達するスチール製ギヤシフトレバーと組み合わされる。
シェフラーの製品開発者、パスカル・コーテスは次のように語る。「シェフラーの新軽量化コンセプトにより、トランスミッションの重量を最大で1.2kgの軽減が可能になります。軽量構造は、単に軽量化だけではなく、優れた駆動特性、燃費、さらにはCO2排出量の削減など車両全体に大きな二次的効果をもたらします。このように、パワートレーインの軽量構造は将来に大きな影響力を持つこれからの戦略の焦点となる専門分野なのです」