パナソニックオートモーティブ・アメリカ法人は2024年1月8日、「CES 2024」で、車載用のハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)システムを発表した。「Neuron(ニューロン)」と名付けられたこの統合コンピューターシステムは、ソフトウェア・ディファインド・ビークル(SDV)の進化に対応する高い能力を持っている。
近年、ソフトウェア・ディファインド・ビークルという名称が表すように、自動車のソフトウェアに対する依存度が高まり、車両システムは長期のライフサイクルにわたりソフトウェアのアップデートをサポートする必要がでてきている。
自動車は、高度な運転支援機能に対応するために、ハードウェアとソフトウェアのコンピューター・プラットフォームを活用している。Neuron HPCは、ソフトウェアのアップグレードだけでなく、プラットフォームのライフサイクル全体にわたるハードウェアのアップグレードも可能にするシステムとなっている。
Neuron HPCは、従来のようなシステムごとの個別の多数のECUの最大80%を削減し、集約する能力を持ち、冗長なコンポーネントを削除することにより、車両のコストと重量を削減する。そして、統合による複雑さを軽減することができるのだ。
Neuron HPCはまた、リアルタイムで機能横断的な通信を行なうための高速なクロスドメイン・コンピューティングが可能であり内燃エンジン、ハイブリッド車(HEV)、電気自動車(EV)などあらゆる車両・電子プラットフォームに適合し、もちろん高度運転支援システム、シャシー電子制御、ボディ電子制御、インフォテイメントなどの機能にも最適に適合する能力を備えている。
さらにこのHPCシステムは、高性能かつ大量データの入力処理機能を備えており、しかもアップグレードが可能で拡張性があり、進化する車載プラットフォームに対応できる能力も備えている。
Neuron HPCは車両全体の分散処理が可能で、現在市販されている最先端の車載コンピューティングコアの約10倍の性能を備えている。なお消費電力は最大100Wで、水冷システムを採用している。
また、ソフトウェア・ディファインド・ビークル向けのソフトウエェア、堅牢なサイバーセキュリティも装備している。
そしてパナソニック オートモーティブは、すでにクラウドベースの開発プラットフォームを発表しており、仮想デバイスインターフェースによって仮想化を行ない、最新のコックピットシステムの開発に必要な自動車周辺機器とセンサーシミュレーションをサポートできるため、クラウド上で開発したソフトウェアが、Neuronコックピットシステムボード上での動作が可能で、自動車メーカーは市場投入までの開発時間を短縮し、ソフトウェアの品質を向上させることができる。