2013年2月8日、パナソニッグループ・エナジー社は、車載用ニッケル水素電池を活用した、アイドリングストップ車向けの「12Vエネルギー回生システム」を開発したと発表した。開発したシステムは、減速エネルギーを蓄電し再活用することで、車載電装品へのエネルギー供給能力を向上させる。さらに駆動用のアシストモーターへの電力供給できるので、さらなる燃費向上に貢献するとしている。
同社のニッケル水素電池はすでにプリウス用など、ハイブリッド車で実績が長く、この技術をベースに高温下での充電効率、耐久性を高めた12Vセルを新たに開発し、エンジンルームへの設置が可能になるなど設置自由度の高いシステム設計としている。またコスト的にもニッケル水素電池はリチウムイオン電池などより安いため、より幅広い車種に適用が見込まれる。
このシステムはアイドリングストップ/減速エネルギー回生システム搭載車に特化したもので、普及が拡大しているアイドリングストップ車は、エンジン始動時だけでなくアイドリングストップ(エンジン停止)時もエアコンのファンなどの電力を全てバッテリー(通常は鉛電池)から供給しているため、バッテリーに大きな負荷がかかるという課題がある。この「12V エネルギー回生システム」を搭載することでこの課題を克服し、燃費向上、メインバッテリーの鉛電池の長寿命化などに効果を発揮する。
このニッケル水素電池は1.2Vセル×10本の12Vで、メインの鉛電池と並列接続できるためDC-DCコンバーターなどは不要。また高温特性が優れているため、エンジンルーム内にも問題なく設置できるという特徴を備えている。さらに減速時の回生エネルギーを電気エネルギーとして再利用することで、ガソリンエンジンでの発電負荷を抑えることができ、電装品への電力供給などメインバッテリー(鉛電池)を補完し、さらには力となるアシストモーターへの電力供給も可能な設計としている。
燃費性能は「12V エネルギー回生システム」の搭載により、従来のアイドリングストップシステムの約2倍程度の燃費改善率を目指しているという。
・12V エネルギー回生システム
電池:単1形ニッケル水素電池×10本
電圧:12V
容量:6Ah