オーディオ・メーカーとして知られているハーマン・インターナショナルは2025年4月23日、現在製品ラインアップを進めている先進インテリジェント・コクピットの製品群のプレゼンテーションを行なった。

サムスン傘下にあるハーマン・インターナショナルは、もともとはアメリカ発のJBL、ハーマン・カードンというオーディオ機器メーカーであったが、時代に合わせて高級車載オーディオ・システムをラインアップし、多くの自動車メーカーに採用されてきている。
こうした車載オーディオは、単にスピーカーの供給だけではなく、各自動車メーカーの車種に合わせたサウンド・チューニングなどのエンジニアリングサービスも提供している。

実際に、世界各国の自動車メーカーの上級オーディオとして採用され、日本メーカーでもレクサス、スバルはハーマン・カードン、トヨタ、スズキ、ホンダなどはJBLを採用している。
またハーマン・インターナショナルは、コンシューマー向けオーディオ、イヤホン機器、コンサート会場や映画館、スタジオなどでのオーディオ・システムなどの開発、販売、さらにソフトウエア開発やサービスの提供も行なっており、2024年の売上は1.5兆円、世界で3万3000人以上の従業員を擁するグルーバル・サプライヤーとなっている。




近年では車載オーディオからインテリジェント・コクピット、つまり先進的なインフォテイメントやコクピット・システムの分野にビジネスを拡大させている。


そのため、クアルコム、セレンスなど車載システムの先進企業と提携し、さらにサムスンの持つAI技術、液晶ディスプレイ技術を融合させ、次世代のコクピット・システムを開発している。
特にコクピットの様々な機能、システムをシームレスに統合させ、さらに自動車メーカーの要求を先取りして取り込むことで、自動車メーカーの開発の負担を低減する次世代製品「Ready Produts」を展開している。


これら新製品群は、ソフトウエア・ディファインド・ビークル時代に対応しており、しかも自動車メーカーの開発工数を大幅に低減し、開発サイクルを早めることができるのが特長となっている。
レディ・プロダクトの製品は、拡張現実ヘッドアップ・ディスプレイ、ドライバーの視線だけでなく心拍数や呼吸まで検知できるドライバー生体モニタリング、5G通信もカバーできるコネクト技術、先進コクピット・ディスプレイ、AI車載アシスタント、車載オンライン・アプリストア、オーディオ/インフォテイメントのゾーン制御ECU、車内の先進サウンド制御など幅広い分野を網羅している。

そして、レディ・プロダクトは先進ハードウエアや開発用のツールなども用意しており、自動車メーカー側はデザインやアプリをオリジナル開発できるようにしている。
今回の会場ではBMW X5を使った最新コクピット、先進オーディオのデモも行なわれた。シート位置ごとに音量を含めた最適な視聴環境を作る技術、先進ドライバー/乗員モニタリングシステムと組み合わせることで、ドライバーの好み、あるいは心理状態に合わせて自動選択される映像、インテリア照明、音楽を提供するというサービスもプレゼンテーションされた。