光学ソリューションの世界的大手であるamsオスラムの日本支社、amsオスラム・ジャパンは2022年5月25日〜27日に開催される「人とくるまのテクノロジー展2022 横浜」に出展し、自動車のモビリティと拡張現実(AR)/仮想現実(VR)に向けた最新のプラットフォームを紹介する。
amsオスラム日本地域統括の神永眞杉バイスプレジデントは、「自動車とモビリティ市場でイノベーションと市場を牽引するamsオスラムは、自動車分野で可視光とそれ以外でのセンシング、その他の様々なセンシングアプリケーションに対し、世界的な光学製品のポートフォリオを提供しています」と語っている。
自動車メーカー、サプライヤーに提供する高度な光学テクノロジーとしては、インキャビンセンシング用のダイナミック前照灯VCSEL(垂直共振器面発光レーザー)モジュール、インテリア、エクステリアの照明向けLED、VCSELまたはEEL(端面発光レーザー)テクノロジーに基づく自動運転のためのLiDARなどがラインアップされている。
光学以外の領域でも、amsオスラムは浮遊磁場の影響を受けない高性能の位置センサを供給しており、これらを展示ブースで見ることができる。
自動車モビリティ分野はさらなる電子化と自動運転の普及に向けて進化していることは周知の事実で、これまではセンシング・テクノロジーは安全、衝突回避の機能を提供するために車外センシング用途で主に採用されてきたが、現在では車内センシングも重要になってきている。
可視光や赤外線の光に対してのセンサーがディスプレイの輝度調節やドライバーモニターなどで広範に使用されており、ドライバーがハンドルを握っているかどうかをamsオスラムの静電容量センサーが検出し、高度な運転支援システムを補完している。
また神永眞杉バイスプレジデントは、「将来に目を向ければ、クルマがメタバースへ統合され、内部と外部における情報提供とエンターテイメントの体験が一変することが予想されるでしょう。amsオスラムの製品は、現実世界と仮想世界を橋渡しする、最先端のテクノロジーを提供します。AEEでは、CMOS赤外線画像センサのMIRAシリーズ、レーザーエミッターモジュールのVegalasなどAR/VR分野の革新的な製品、将来のメタバースを可能にする製品を今回展示しています」と語る。
MIRAシリーズは、ステレオビジョン3Dセンシング、顔認識、電子ロックと屋内スキャン、AR/VRなど、多彩な使用目的に対応している。MIRAセンサーは競合の画像センサーよりも近赤外線(NIR)波長に対する感度が高く、3Dセンシングシステムで超低消費電力のIRエミッターを使用できるようになっている。IRエミッターは3Dセンシング・アプリケーションで最も電力を消費するため、高感度のMIRA画像センサを使用すれば、より低電力でスマートグラス、その他のAR/VRやモバイルデバイスを採用することができるのだ。
また高度な裏面照射(BSI)技術により解像度を減らすことなく、MIRA画像センサーの寸法を小型化でき、高フレームレートとグローバルシャッター動作は、ぶれやその他のモーションアーチファクトのない明瞭な画像を実現している。
最新のVegalas製品は、単一の実装パッケージに格納された、RGB (赤/緑/青)レーザーダイオードだ。MIRAセンサーと同様に、Vegalasエミッターは非常にコンパクトであるため、スマートグラスやAR/MR(複合現実)でのライトプロジェクションのエンジンを最大で現行の半分まで小型化でき、スマートグラスを通常のサングラスやメガネのようにスタイリッシュにデザインでき、同時に着用者へ豊富な情報を表示して提供できるのだ。
現行のAR/MRスマートグラスは大きいため、特殊な産業用途や商業用途に限られているが、Vegalasエミッターを使用すれば、コンシューマー市場に適した軽量でスタイリッシュなスマートグラスを開発でき、モバイルコンピューティングデバイスの市場を一変させてスマートフォンの独占市場を脅かす存在となり得るのだ。
AR/VRメガネがスマートフォンと同程度に普及したコンシューマーデバイスになる可能性は十分にあるが、自動車メーカーは、車両をメタバースにおけるユーザーの日常生活へ統合することで、ドライバーや乗客がスマートグラスを自動車の内外で着用するニーズに応えることが可能になる。
なお、展示ブース内では、実際のデモ画面を用いた製品の機能紹介を体験することができるようになっている。
展示技術特設WEBサイト:https://ams-osram.com/ja/events/automotive-engineering-exposition