オーストリアに本社を置き、LiDARや3次元立体画像センサー、立体照明など自動車分野などで高性能センサーの設計、開発、製造のグローバルリーダーである「ams」社は、2020年8月27日に、新型コロナウイルスの感染を検出する高速試験デバイスの開発に向け、医療技術スタートアップ企業にセンサー技術を提供すると発表しました。
これまでに自動車産業の中では、メガサプライヤーのボッシュも3月に新型コロナウイルスを2.5時間で判定できる信頼性の高い検査キットを開発したと発表するなど、自動車関連企業も世界的に猛威を振るう新型コロナウイルスの検出技術に力を注いでいます。
今回発表されたams社は、3次元センサー、CMOSセンサー、LiDAR、光センサーなどに代表される自動車関連技術以外に、医療用、健康維持のためのセンサー類も供給している企業のため、新型コロナウイルスの検出技術についても開発を進めています。
2020年6月にはams社のスペクトル(光学)センサーを使用したシンプルなデジタル抗体検査が可能であることが発表され、従来の検査装置と比較して10倍の検知精度を持つ低コストな検査システムとして確立し、ドイツの診断用医療機器メーカーのセノヴァ社と共同で革新的な検査システムを作り上げたことを発表しています。
そして今回、ベルリンを拠点とするドイツの医療技術スタートアップ、midge medical社に最新のセンサー技術を提供し、家庭と医療機関での遺伝子検査と血液検査を、迅速にかつ低価格で実現するテクノロジーの開発が進められることが発表されました。
ams社のスペクトルセンサーをベースに専用開発された検査システムは、増幅したコロナウイルス感染症(SARS-CoV-2)ウイルス粒子のスペクトル分解による読み出しを可能にしたのです。
現在の新型コロナウイルス感染症は、現在はもちろん、将来の危機を管理するためにも、発症している人だけでなく無症状の人々にも、繰り返し検査を行なうことが求められています。
現在開発中の検査システムは、わずか15分間で高精度な試験結果を、スマートフォン経由で取得することが可能になります。
ams社の高度光学センサー部門でエグゼクティブバイスプレジデントのジェニファー・チャウは、「midge medical社が持つ独自の診断ビジョンとamsの高性能で高感度なスペクトルセンサーを組み合わせ、現行のシステムに比べてわずかなコストで読み出し機能を小型化することが可能になりました。それにより家庭や医療機関でのヘルスケア環境に分散して検査を実施することができます。midgeのスマートフォンアプリは、登録済みのスマートフォンへ瞬時に検査結果を表示できます」と語っています。