新素材「しなやかなタフポリマー」活用により革新的EVコンセプトカー完成

東レ・カーボンマジック株式会社(以下、東レ・カーボンマジック)および科学技術振興機構(JST)は2018年9月28日、新素材「しなやかなタフポリマー」を用いた革新的EVコンセプトカー「I toP(Iron to Polymer、アイトップ)」が完成したことを発表した。
しなやかなタフポリマー活用 EVコンセプトカー I toP アイトップ

この革新的コンセプトカーは東レ・カーボンマジックが内閣府総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の1つである「超薄膜化・強靭化『しなやかなタフポリマー』の実現」(以下「本プログラム」)の一環として取り組んだ成果によるもので、本プログラムによって創出された「しなやかなタフポリマー」の、自動車への効果的な適用部位を探索・検討する とともに、将来の実用化に向けて、その原理や手法を分かりやすく説明するための車両コンセプトを構築した。
しなやかなタフポリマー活用 EVコンセプトカー I toP アイトップ
今回、その可能性を検証することを目的として、「しなやかなタフポリマー」など研究で得られた材料をふんだんに活用し、適用の効果を具現化した電気自動車のコンセプトカーとして完成した。
完成したコンセプトカー「I toP」は、しなやかさとタフさの両方をイメージさせ、オール樹脂のクルマだからこそ成しえる未来的なデザインを目指し、一体感のある卵型キャビンと独立したフロントホイールカバー、大きな窓エリア、大開口ドアなどが外観上の大きな特徴となっている。
車室内も同様のコンセプトを持ち、将来の自動運転化を見据えたモニタリングシステムやステアリングシステム、1+2座席の3名乗車とされた。
このデザインを成立させ、かつ軽量性・機能性に富んだ車体の構築には、「しなやかなタフポリマー」を含む樹脂材料を炭素繊維で強化した複合材を多用。ボディを兼ねるモノコックフレームは、外皮部分とプラットフォームに加え隔壁を一体成形し、高強度・剛性と軽量性を両立させている。

車両の樹脂化を従来比約4倍の47%まで進められ、樹脂製の大きなサイドウインドや透明ルーフとフロントウインドの一体化など、これまでにないフォルムと空力を両立させつつ、革新的な一体成形モノコック構造ボディ・フレーム(重量140kg、一般的な金属製モノコックの約半分)により、強度・剛性にも優れた衝突安全構造を実現。
また、サスペンション・スプリング・ホイールなどの足回り部品にも炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を適用したことで、車両重量は850kg(軽量化率38%)と大幅な軽量化を達成することができた。
自動車の衝突安全対策にも当該材料を活用されており、前後および側面に配された衝撃吸収構造体やバンパービーム・モノコック構造ドアなどに適用し機能向上を果たしている。
さらに開発材料が適用された透明窓やタイヤは、従来よりも薄肉化されており、ここでも大幅な軽量化に貢献している。

こうした軽量化の結果、製造工程も含めた10万km走行時点での温室効果ガス(GHG)排出量が、従来素材の鉄、ガラス、タイヤなどで作った場合と比べて11%低減できる可能性が示された。

しなやかなタフポリマー活用 EVコンセプトカー I toP アイトップ GHG削減効果
GHG削減効果

 東レ・カーボンマジックおよび科学技術振興機構(JST)では、今回の“I toP”により、「しなやかなタフポリマー」が持つ特質が、自動車を始めとした輸送機器の性能・機能向上に大きく貢献する可能性を見いだすことができた、としている。また同様の 課題や背景を有する一般産業用途・スポーツ器具などにおいても適用の効果が見込まれるこ とから、自動車以外の分野への波及や近い将来の実用化が期待される、としている。
 
革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)
超薄膜化・強靱化「しなやかなタフポリマー」の実現(ImPACT)
東レ・カーボンマジック株式会社
国立研究開発法人 科学技術振興機構


The Mortor Weekly

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