2014年12月4日、豊田通商が出資するアルゼンチンのリチウム開発事業会社Sales de Jujuy S.A. (サレス・デ・フフイ)は、アルゼンチン北西部フフイ州オラロス塩湖でリチウムの本格生産を開始したと発表した。12月3日にはリチウム工場の開所式を敷地内で行なった。
豊田通商は、オーストラリアの資源開発会社Orocobre Limited (オロコブレ)と、2010年1月からオラロス湖でのリチウム資源開発事業化調査を実施している。2012年12月にアルゼンチン・フフイ州から開発許認可を受け、採掘権を取得し、サレス・デ・フフイへ25%出資中だ。2013年8月にオラロス塩湖からかん水を汲み上げてリチウムを精製する工場を建設し、試験操業していたが、このたび本格生産が開始された。
これはアルゼンチンにおける日本企業初のリチウム開発事業で、開所式にはアルゼンチン・フフイ州のフェルナー知事、駐アルゼンチン・三輪能弘参事官、現地政府関係者のほか、日本からも独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源の安達直隆理事、豊田通商の荒木良文常務執行役員、近藤秀樹執行役員、豊田通商アルゼンチン田中一臣社長らが出席した。
豊田通商は、このリチウム精製工場で生産される炭酸リチウムの100%販売代理権を取得しており、今後、需要増加が予想される炭酸リチウムを日本を含む全世界へ販売し、リチウムの上流から下流までのサプライチェーン構築を目指すという。この工場では炭酸リチウム換算で年間1万7500トンの生産を目指しており、日本への初出荷は2015年1月頃を予定しているという。
炭酸リチウムは、ガラス製品、セメント製品の添加物にも使用されるが、主たる用途はリチウムイオン電池の正極材である。リチウムイオン電池の正極材として使用されるコバルト酸リチウムの原料として炭酸リチウムが使用される。トヨタのハイブリッド車用として利用されているニッケル水素電池は2015年~2016年にリチウムイオン電池への切り替えが開始されると予想されており、そのための原材料の確保と見てよさそうだ。