2012年11月1日、ノルトロック・ジャパンはワッシャーの進化型「Xシリーズ」を発表した。従来からの「ウェッジロッキング機能」は、振動などによるナットの回転緩みを防止するが、さらに進化したこのXシリーズで、非回転緩み、なじみ緩みをも抑制できる。
スウェーデンのボルト・ワッシャーのメーカー、ノルトロック社は回転振動緩みを防止するウェッジロッキング機能を持つワッシャーを販売し、世界中の鉄道、船舶、航空機、電力、ガス油田や鉱業機器、自動車などの分野で採用されてきた。
ちなみに日本のクルマ関連では、スーパーGTに参戦しているスバル・STIのBRZに搭載されるターボチャージャーのマウント用に、耐熱性の高いインコネル合金製のノルトロック・ワッシャーが採用されている。ターボは高熱の上、高周波の振動を発生するため取り付けボルト/ナットの緩みを防止するためだ。またメルセデス・ベンツのハイブリッド車の高圧電源ボックスの固定用ボルトにも採用されているという。
これまでのウェッジロッキング機能を持つノルトロック・ワッシャーは、主としてボルトの軸力を低下させて回転緩みを防止していたが、低硬度の素材、パッキン付きフランジなどを固定するボルト/ナットの場合は、回転緩み以外の非回転緩み、つまり素材の塑性変形などによる「なじみ」により、締結ボルトの軸力が低下する現象が発生する。
今回発売された「Xシリーズ」は、こうした非回転緩み、なじみ緩みにも対応しボルトの軸力低下を抑制するワッシャーである。
Xシリーズの基本構造は、従来からの2重ワッシャーの接合面にウェッジ状のカムを持つ構造だが、2重ワッシャー自体が湾曲した緩やかな円錐状になっており、その円錐形状でスプリング効果を発揮し、素材の「なじみ」による緩みを補完することでボルトの軸力の低下を抑えるという仕組みになっているのだ。
「新素材や塗装面を持つ素材、あるいはパッキンを挟んでボルト結合するといった事例で、このXシリーズはきわめて有効です」と相馬一虎・営業技術部マネージャーは語っている。
なお、ノルトロック・ワッシャーは従来タイプも、今回登場したXシリーズも、ボルト締め付けは塑性域角度法ではなく弾性域トルク管理締め付けに適合している。