ウエット性能&静粛性がアップ ミシュラン「プライマシーSUV+」試乗記 

ミシュランからSUV用プレミアムコンフォートタイヤとして「プライマシーSUV+」が2022年2月に発表され、5月から販売が始まるが、先行して試乗テストする機会があったのでお伝えしよう。

テストはGKNのクローズドテストコースで、オーバルの高速周回路とスラローム、ウエット路面でのフルブレーキテストなどを行なった。テストカーはトヨタ ハリアー。比較タイヤはミシュランのプレミアLTXで、主に北米ユーザー向けに提供している商品だ。

テストコースでの高速周回路、ウエットブレーキなどのテストを実施

SUVやクロスオーバーという車型の人気は北米から始まり、次第に欧州、日本へとそのブームが到来している。そうした流れからもプレミアLTXが北米ユーザー向けというのも納得できる。しかしグローバルで人気の高まりがあるSUV/クロスオーバー市場となった今、それぞれのマーケット向けタイヤが必要になってくるのは当然の流れだ。

今回試乗したプライマシーSUV+はアジア市場をメインターゲットとしたタイヤで、国内のユーザーにも最適であるとアピールしているタイヤ。製品の特徴は、ドライグリップはもちろん、ウエット性能、高い静粛性といった性格のタイヤだ。

アジア市場向けに新たに開発されたプライマシーSUV+

テストでは高速周回路で走行ノイズや直線部でのスラロームで手応えやグリップ感などのフィールチェックを行なった。最初にプレミアLTXを試すが、北米はコンクリート舗装など国内のアスファルト舗装とは大きく異なるため、タイヤのキャラクターもそれに合わせたものになっている。だからアスファルト舗装で走行してみると、ステアしたときの「シャー音」がかなり聞こえてくる。

ただ、応答性ではヨーゲインが立ち上がり、しっかり感はあった。次にプライマシーSUV+を試乗すると静粛性の違いは明確に感じられる。アジアで開発しアジアの路面に合わせていることが感じられる。転舵した時のフィールはLTXに比較すると穏やかに感じるものの、単体での絶対評価をすれば、応答性も高く、かつ剛性感が全体で感じられるという評価だ。

北米では車重の重さや舗装の違いなどもあり、転舵時のノーズの入りは反応よくなるように設計されていると想像できる。一方、ハリアークラスのSUVが多い国内では、乗り心地や静粛性、そしてウエットグリップのほうが要求値は高くなるだろう。

そのウエットブレーキテストでは80km/hからのフルブレーキでABSを効かせての制動テストを行なった。テストはプレミアLTXとプライマシーSUV+をそれぞれ2回。テストはGPSで自車位置を捉えている計器を搭載しているため、どのタイミングで制動を開始しても計測値に影響はない。よくあるパイロンを通過したらブレーキングというテストではブレーキの開始タイミングにズレが生じ、正確に制動距離は計測できないが、このGPS方式だと常に正確なデータが取得できる。

さらにデータには単に制動距離だけでなく、80km/hから0km/hになるまでの時間、減速Gの平均値、減速GのMAXも同時に計測できるので、その結果をお伝えしよう。

LTXでは停止するまでの時間は0.25秒、0,27秒。SUV+は0.23秒、0.23秒。制動距離はLTXが28m、27m、SUV+が25.7m、25m。平均減速GはLTXが0.9GでSUV+は1.0G。そして最大減速GはLTXが1.0GでSUV+が1.1Gというテスト結果だった。

80km/hからのフルブレーキテスト
ウエットグリップの高さを実感した

ミシュランの公式データでも8.2%制動距離が短くなるというテストデータがあり、ほぼ同等のテスト結果を得ることができている。

ここでプライマシーSUV+をおさらいすると、コンパウンドは新設計され、シリカを大量配合することで、転がり抵抗を減らしウエット性能を向上させている。もっともLTXはM+Sという性格のタイヤのため、本来はカテゴリー違いでもある。

またトレッドデザインではメイングルーブ(主溝)をU字型デザインにし、フルデプスサイプにすることで摩耗時のウエットグリップも確保する設計になっている。そしてブロックの細分化によりブロック数を増大させ、バリアブルピッチ配置にすることで走行ノイズの低減をしている。M+SのLTXより27.9%も静粛性が向上しているということだ。

こうしたアジア市場向けのプライマシーSUV+はプレミアム コンフォートタイヤの位置付けでデビューする。<レポート:高橋アキラ/Takahashi Akira>

COTY
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