電動パワーステアリングの大手サプライヤーのジェイテクトは2022年10月4日、今後の自動運転システムの普及拡大に向け、クルマの操舵タスクを人間と車載システムが共有して安全運転を実現するステアリング制御システム「Pairdriver(ペアドライバー)」を開発したと発表した。ペアドライバーは、システムによるレーントレース性を確保しながら、運転者がシステムにとって代わり、操舵に継ぎ目のない協調操舵を可能としている。
現時点で国際法規規準が決定され、日本やドイツでは型式指定の取得も可能になっているレベル3の自動運転は、一定の条件下ではドライバーは車両の操作、周囲の交通環境の監視の義務から解放されるが、交通環境が変化して条件を外れる場合はドライバーが直ちに運転操作をする必要がある。
またレベル4の自動運転では、常時システムによる自動運転が行なわれるが、時によってはドライバーが自動運転システムをオーバーライドして手動運転に切り替わるようになっている。
このように自動運転システムからドライバーに、あるいはドライバーの運転から自動運転に切り替わる時にスムーズなステアリング・システムの移行が行なわれる必要があるのだ。
ジェイテクトのペアドライバーは、電動パワーステアリング(EPS)を介して自動運転システムとドライバーの「意思」をつなげるシステムとなっている。運転者の入力トルク(ハンドル操作)などの情報と、車内外に取り付けられたセンサーによって検知・解析された車両運動とを統合し、その「システムの意思」をハンドルの振動や反力を通じて運転者に伝える。この「人とシステムとの直感的なコミュニケーション」による運転アシストで、今までにない安全・安心を提供する運転環境を実現するのだ。
自動運転走行中にシステムが運転者の操舵を検知すると、操舵補助を伴いながらスムーズに運転者の操舵意思を反映し、システムと運転者の意思を同調させながら車両を操舵することができる。高度なセンシング技術と制御技術により、スイッチの操作など明確な切り替え動作不要となっている。
ジェイテクトは、今後は国内外の自動車メーカーに対し、既存のステアリング・システムと合わせてこのペアドライバーの提案を進めて行くとしている。