ジェイテクトは2021年10月27日、日野自動車チームスガワラがサウジアラビアを舞台にした「ダカール・ラリー2022」(2022年1月2~14日)に参戦するレース用ハイブリッドシステムを搭載したレース用トラックに、高耐熱リチウムイオン・キャパシタを供給すると発表した。
日野チームスガワラはダカール・ラリーに初のレース用ハイブリッドシステム搭載車両で参戦することになり、そのハイブリッドシステムを支える装置の一つとしてジェイテクトのリチウムイオン キャパシタが採用されている。
ジェイテクトが開発したリチウムイオン キャパシタは、二次電池に分類される蓄電デバイスで、電気の出入り(放電・充電)が一般的なバッテリーに比べ非常に早く、出力密度に優れており、繰り返し充放電による性能劣化が少なく、寿命が長いなどの特長があげられる。
そしてジェイテクトが開発したリチウムイオン キャパシタは、独自技術により従来のキャパシタの動作温度範囲を凌駕する-40~85度Cを実現し、電圧制御すれば100度Cまで使用可能という耐熱特性を備えている。
また耐熱性が高いため、高負荷連続使用時の自己発熱(ジュール発熱)に伴う劣化を大幅に抑制することが可能で、さらにリチウムイオン電池と異なり、正極に活性炭を用いることで発火しにくい特性を備えている。
このリチウムイオン キャパシタが今回のダカール・ラリーに参戦するレース用のトラックのハイブリッド向け蓄電デバイスとして採用され、一般的なリチウムイオン電池では実現不可能な高出力でエンジンパワーをアシストする。また高耐熱化により電力要求高負荷時の劣化を抑え、ラリー全行程を走り切る安定した性能を備えている。
その他にドライバーの要求にリアルタイムに応える制御性、ラリーならではの悪路での振動衝撃に対応したモジュール構造(協豊製作所と協業)が特長となっている。
ダカール・ラリー2022にはアウディがシリーズ式ハイブリッド車両で無制限改造クラスに参戦し総合優勝を狙っているが、トラック(カミオン)クラスでもこの日野チームのハイブリッド・システムがどのような実力を見せるか関心は深まる。