自動車部品大手サプライヤーのジェイテクトは2020年8月6日、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期「自動運転(システムとサービスの拡張)」の東京臨海部実証実験へ参画し、6月8日から7月16日の期間に羽田空港地域で自動運転バスの実証実験を実施したと発表しました。
ジェイテクトは実証実験で得られた成果を基に、さらに技術をブラッシュアップし、次世代型公共交通システムの実現を目指し、高齢者や交通制約者などのモビリティ確保やドライバー不足の改善・コスト低減等の社会的課題の解決に貢献したいとしています。
今回の実証実験は、羽田空港第3ターミナルビルと羽田空港跡地第1ゾーンを結ぶ通常の公道交通環境のもとで、磁気マーカーやITS無線路側機を活用した公共車両優先システム(PTPS:Public Transportation Priority Systems)、そして信号情報提供、高精度3次元地図などを利用したバスでの自動運転の実証実験でした。
公共交通機関であるバスの定時性の向上、磁気マーカーを活用した自動運転の実現、緩やかな加減速やバス停への正着制御などにより快適な運転自動化レベル4相当の次世代型公共交通システムの熟成が行なわれています。
この実証実験に使用された車両は、日野ブルーリボンシティを使用し、羽田空港ターミナルビルに設置された仮設バス停を発着点として、Haneda Innovation Cityを経由する周回コース(約4km)の公道区間で自動運転走行を実施。実験期間中、発進、最大60km/hの走行、右左折、車線変更、バス停への正着制御による停車といった一連の走行パターンを繰り返し行なわれました。
実験車両は、搭載された自動運転制御装置により、ルート上に埋設された磁気マーカーやGNSS測位を活用して自車位置を把握し、事前に設定された走行軌跡と照らし合わせてアクセル、ブレーキ、操舵操作を自動で行ない、既定のルートを周回するというものです。
今回の羽田空港地域における実証実験では、テストコースなど限られた条件での実験と異なり、実際の交通環境下の走行データを多く取得することができたことが重要なポイントになります。
そして磁気マーカーやGNSSといった異なる測位方式による走行データも取得することができたため、今後の実証実験データの解析を通して、より実用的なシステムの普及を目指すとしています。