オランダ・アムステルダムのHEREテクノロジーズ本社は2021年10月13日、ブリヂストンとの提携を発表した。提携の第一歩として、ブリヂストンのモビリティソリューション ビジネス ユニットは同社が取得したコネクテッドカーのデータを匿名化した上で、HEREマーケットプレースのプラットフォーム上で提供することになる。
HEREテクノロジーズは先進的な位置情報および位置情報技術のプラットフォームを提供するグローバル企業。そして同社のサービス プラットフォームであるHEREマーケットプレースは、世界規模の位置情報データ交換ハブであると同時に、位置情報に関するアプリケーションを構築するためのプラットフォームとなっている。
ブリヂストンのモビリティソリューション事業が開発した革新的なデータ主導型フリートソリューションは、すでに120万台以上の車両で利用されている。
また、ブリヂストンのテレマティクス/モビリティソリューションは、建設、公共事業、救急サービス、旅客輸送などの多くの業界において、小型商用車、トラック、電気自動車、トレーラーなど幅広い種類の車両に搭載されている。
ブリヂストンのモビリティソリューション事業は、コネクテッドカーデータの利用により、スマートシティの運営、交通安全、交通管理の改善を目指しているのだ。
HEREマーケットプレースは、ブリヂストンのモビリティソリューション事業における車両からのプローブデータを取り入れ、業界への提供を開始した。プローブデータには、緯度、経度、時刻、方向、および車両タイプが含まれ、1カ月のデータポイントは平均150億に達する。
また、温度、燃料レベル、バッテリー使用量、加速度のデータを追加することで、交通安全とメンテナンス向けの用途を強化するとともに、燃費の向上や環境問題の解決にも貢献可能となる。
ブリヂストンの駐車データセットもHEREマーケットプレースに追加される予定だ。このデータセットには、緯度、経度、開始時刻と終了時刻、および車両タイプが含まれる。ブリヂストンの駐車データセットは、駐車場の選択肢や空き状況を検出し、最適化するために不可欠なデータだ。
データのプライバシーを最優先するブリヂストンは、DBSCAN(density based spatial clustering of applications with noise)など、データの匿名化と集計に複数のレイヤーと方法を採用しており、GDPRガイドラインに準拠している。
ブリヂストンはHEREマーケットプレースを利用することで、企業によるブリヂストンのデータを利用し公共部門やスマートシティ開発、モビリティソリューション、輸送、物流向けの付加価値の高いサービスの開発を可能にする。
ブリヂストン・モビリティソリューション事業のバイスプレジデントのラウナス・バネルジーは、「HEREとブリヂストンは、持続可能で安全なモビリティの未来を創るという共通のビジョンを持っています。HEREが有するグローバルでプライバシーバイデザインを重視するDNAや充実したパートナーエコシステムの点から、HEREのマーケットプレースはブリヂストンにとって、コネクテッドカーデータを革新的な企業に提供するにあたって最適なプラットフォームと言えます。この提携は今後の成長が期待される提携の第一歩です」と語っている。
HEREテクノロジーズのシニアマネージャーのアームド・ナザールは、「HEREはブリヂストン・モビリティソリューションのデータをトラフィックサービスに利用しており、その正確性と鮮度を証明することができます。今回の提携によりブリヂストンとの関係を深め、このデータをお客様やパートナーに直接提供できることをうれしく思います。官民を問わず、付加価値サービスを開発する世界中のユーザーが、最高クラスのテレマティクスデータを統合できることを歓迎するでしょう。より効率的なインターモーダル輸送から環境にやさしいトラフィック管理まで、用途の可能性は非常に大きいものです」と語っている。