高精度な3次元デジタル地図(3Dマップ)、ロケーション・プラットフォーム・サービスのグローバル・リーダーであるHEREが、2019年5月15日に日本市場向けにローカライズされたHERE Open Location Platform(OLP:オープンロケーション・プラットフォーム))を、第2四半期末までに日本で提供を開始すると発表した。
日本市場に提供されるオープンロケーション・プラットフォーム
HERE社のエザード・オーバービークCEOは、現在のHERE社は世界最大の高精度デジタルマップ、位置情報データベース、リアルタイム・マップ、屋内の位置データも取得できるグローバル・リーディング企業であることを紹介した。
そしてHEREの位置情報データは、自動車業界のナビゲーション・サービスや自動運転のためのツールだけではなく、公共団体・自治体などによるスマートシティの構築のためや、近未来の人、自動運転車、シェアリングカー、ドローン、ロボットが共存する社会には不可欠になると説明している。
HEREオープンロケーション・プラットフォーム(OLP)は、さまざまな業界のソフトウェア開発者が、世界規模で位置情報データとサービスを検索、共有、分析できる共通データソースを意味している。このOLPを使用することで、カーナビゲーションなど車載機器だけではなく、自治体、販売業、製造業、農業など社会の広い分野で使用でき、世界規模で位置情報データとそれに派生するサービスを検索、共有するための共通データソースとなっている。
利用する価値
このOLPは、さまざまな企業や団体が固有に持っているデータを組み合わせることで、これまでにない新たな商品やサービスを生み出すことが可能になる。例えば公共企業による道路の、より効率的な維持管理や、農業における最適な農地管理により生産効率を高めることも可能になるのだ。
特に自動車業界では、OLP使用することで道路の破損や事故、路面状況など実際の道路状況に関するリアルタイム情報が得られるため、これを活用してナビゲーションの付加価値を高めたり、運転支援システムに活かすことができる。輸送・物流業界においては、リアルタイムの交通情報による最適な車両運行や、積載している商品の位置追跡サービスにも活用することも可能になる。
またOLPの特長として、日本以外でも各種サービス展開が可能で、グローバル規模でそれぞれの国の市場に特化した独自のサービスを構築することができるのも特長だ。例えば製品の海外への輸送では、製品がどこに運ばれているかをリアルタイムで把握することなどができる。
なお日本市場では、HEREはパイオニアと戦略的提携を行なっており、日本国内の位置情報データはパイオニアの子会社のインクリメントPが収集した高品質の地図コンテンツをデータ化し、OLPのベースデータとして使用されているという。
三菱電機と「レーンハザードワーニングシステム」開発で協業
5月15日付で、三菱電機とHEREが道路上の危険を警告するシステムの共同開発を行なうことが発表された。「レーンハザードワーニングシステム」は、三菱電機のHDロケーターとHEREのクラウドにあるリアルタイムマップを含むオープンロケーション・プラットフォーム技術を組み合わせることで、先行車両のセンサーが検知した落下物や陥没、滑りやすい路面などの路上障害の位置情報を、クラウドを通じて後続車両に自動的にリアルタイムに共有するシステムだ。
このシステムの実証実験は2018年12月に茨城県で、2019年3月にはカリフォルニア州で行なわれている。このシステムを使用して道路事業者に路面の劣化を通知するサービスや、自動運転車向けの高精度地図のリアルタイム更新技術などへの仕様が想定されている。