2015年6月4日、住友ゴム工業は、グッドイヤー社とのアライアンス契約、合弁事業の解消について合意に達したと発表した。アライアンス契約、合弁事業の解消に伴う一連の取引の結果、住友ゴムはグッドイヤーから約325億円を現金で受領する。
住友ゴムとグッドイヤーは1999年6月にアライアンス契約を締結し、同年9月から北米、ヨーロッパ、日本での合弁事業を開始している。これにより北米、ヨーロッパ、日本において共同でタイヤ事業を行なうため4つの製造・販売合弁会社を設立。同時に両社の世界レベルでの競争力強化を図る技術交流、共同開発、共同購買のための2つの合弁会社を設立。また両社の関係をより強固なものとするため相互の株式の持ち合いなども行なっていた。
つまり、これにより住友ゴムは北米市場に、グッドイヤーはアジア市場、ヨーロッパ市場でのポジションを拡大し相互補完関係を築いてきたのだ。
しかし、2014年1月10日付でグッドイヤーからアライアンス契約および合弁事業の解消に関する国際商業会議所への仲裁申し立てがあり、その後は住友ゴムとグッドイヤーは継続的に協議を重ねた結果、今回の協業解消に至った。
そして、北米タイヤ製造・販売合弁会社(Goodyear Dunlop Tires North America, Ltd.)、日本国内の新車向け(OEM用)タイヤ販売合弁会社(ダンロップ・グッドイヤータイヤ)は住友ゴムが買収する。共同購買と共同技術開発合弁会社は解散となる。
またアメリカ、カナダ、メキシコでの日系自動車メーカー向け新車用タイヤ、モーターサイクルタイヤ全般に関しては住友ゴムがダンロップ商標の使用権を引き継ぐ。一方、この地域での非日系自動車メーカー向けと市販タイヤに関するダンロップ商標使用権は、グッドイヤー社が引き継ぐことになる。
日本市場では住友ゴムが引き続きダンロップの商標を継続する。またロシア、CIS諸国、トルコ、中近東、アフリカ諸国等33カ国は、住友ゴムが独占的にダンロップの商標使用権を使用する。
したがって、住友ゴムは新興国ではダンロップ・ブランドを維持し、ヨーロッパ、アメリカ市場ではファルケン・ブランドをメインとすることになり、住友ゴムは成長市場でダンロップ商標を確保しているが、そもそも協業解消の原因ともいえる中国を始め新興国市場では住友ゴムとグッドイヤーは競合関係となる。
タイヤメーカーとしての規模は、ブリヂストン、ミシュランの2強状態となっており、3位のグッドイヤーが巻き返しを狙い、6番手の住友ゴムはダンロップ、ファルケンの2ブランドでさらなる成長を目指すというそれぞれのスタートが切られることになる。