2014年7月14日、富士通テンは6月16日~19日にフィンランド・ヘルシンキで開催された「ITSヨーロッパ会議2014」で行われた緊急通報システムの実証実験に同社の緊急通報対応仕様のテレマティクスコントロールユニット(TCU)を提供した。
ヨーロッパでは新型車への搭載の義務付け計画もある緊急通報システム「eCall」の実証実験にはGLONASS UNION(グロナス・ユニオン:ロシア国内外におけるGLONASSテクノロジー・ベースの製品・サービスの開発と採択を目的とした共同体)、VTT(フィンランド技術研究センター)、Gemalto(デジタル&通信セキュリティの専門企業)、富士通テンが参加した。
今回は、ヨーロッパの提唱する「eCall」と、ロシアが推進している「ERA-GLONASS」の両システムのそれぞれの緊急通報システムの互換性を実証するため、欧州域とロシア国内で同時にデモンストレーションを行うという世界初の実証実験となった。
ちなみにヨーロッパにおける「eCall」は、自動車事故が発生した場合、車両に搭載されたIVS(In vehicle system)が手動または自動で緊急通報「E112」を発信し、音声と車両情報(位置、車の向き、ナンバー、車種など)が2G通信ネットワークを介し、事故現場に最も近い緊急通報センター(PSAP)に接続することで、救命率の向上を目指したシステムだ。
またロシアの「ERA-GLONASS」は、ロシアの衛星測位(GPS)システムを利用した、ロシア版の緊急通報システムの名称。グロナス衛星を使用した緊急通報システムである点が特徴。
自動車事故への即応のため、新型車への緊急通報システム(ヨーロッパではeCall、ロシアではERA-GLONASS)の搭載義務化については、ヨーロッパでは欧州委員会(EC)が勧告し、ロシアでは2015年からの導入が発表されているす。
通報のための通信方式はヨーロッパにおける携帯電話用無線方式である2G(GSM)が用いられ、制度施行に向けて2011年からヨーロッパ諸国を対象に、実地検証プロジェクトが展開されている。富士通テンは2013年から参画し、今回の実験もその一環にあたる。
今回の実証実験は、ロシアの緊急通報システム(ERA-GLONASS)搭載車が、ヨーロッパ地域でも緊急通報システム(eCall)に対応し、逆にeCall搭載車がロシア国内でも緊急通報システム(ERA-GLONASS)に対応することをデモンストレーションで実証し、これによりeCallとERA-GLONASSの互換性が確認された。