住友ゴムは2025年1月8日、グッドイヤー社からヨーロッパ、アメリカ、オセアニア地域における4輪タイヤのダンロップ商標権等を取得することについて、譲渡契約を締結した。
取得額は5億2600万米ドル(826億円)。この商標権取得により、一部の地域や商材を除き、住友ゴムがグローバルにダンロップ・ブランド名でタイヤ事業の展開が可能となったのだ。
住友ゴムはもともと国内ではダンロップのブランド名を使用していたが、1985年にイギリスのファンドがダンロップのブランド名を住友ゴムに売却したため、イギリス、ヨーロッパでもダンロップ・ブランド名が使用できるようになった。
しかし1999年に、住友ゴムがグッドイヤーと提携を結んだため、ダンロップのタイヤ製造・販売については、アメリカ、ヨーロッパ市場はグッドイヤーが担当し、日本を含むアジア市場は住友ゴムがそれぞれ担当することになった。
ところが2015年9月末に住友ゴムとグッドイヤーの提携は解消され、ブランドの使用権について、住友ゴムはアメリカの日系自動車メーカー向けと日本、ロシア、中近東、アフリカなど33カ国での使用権となり、グッドイヤーはアメリカの非日系メーカー向けとヨーロッパで使用権を所有していた。
そして今回、グッドイヤーがアメリカとヨーロッパ、オセアニア向けの使用権を住友ゴムに売却したため、住友ゴムはほぼ世界規模でダンロップのブランド名での展開が可能になったのだ。
住友ゴムは、この譲渡契約により、ダンロップ・ブランドのタイヤをグローバルでプレミアム・タイヤブランドとして展開するとしている。その歴史や知名度を活かしつつ、独自の先進技術を搭載した商品で他社との差別化を図ることになる。
具体的には、新技術「アクティブトレッド」を搭載した新商品の開発、プレミアム車両向け新車用タイヤの開発、モータースポーツ活動を重視することになる。
一方、これまでヨーロッパ、アメリカ、オセアニア地域で使用してきた、住友ゴムのもう一つのタイヤブランド「ファルケン」は、各地域で培った商品企画力やマーケティング力を生かし、ファン層に向けのタイヤにターゲットを絞ることになる。
両ブランドでの事業展開を通して、各地域での販売本数を増やすとともに、プレミアム商品比率の向上を図るとしている。