ダンロップをはじめとするブランドで知られるタイヤメーカー大手の住友ゴム工業では、2013年の発売を目標に、石油や石炭などの化石資源をまったく使用しない「100%石油外天然資源タイヤ」の開発を進めている。そして2011年12月11日まで開催されている第42? 回東京モーターショーに、そのプロトタイプが出展されている。
同社は石油や石炭などの化石資源への依存度を最小限にすることを目指した、石油外天然資源タイヤの開発に2001年から取り組んでいる。すでにダンロップ・ブランドで、2005年には石油外天然資源の使用比率を70%に高めた「エナセーブ ES801」を、また2007年には同割合を97%にまで高めた「エナセーブ 97」を発表している。
今回はバイオ素材技術を応用することで残る3%を天然資源化することに成功し、プロトタイプ・タイヤとして東京モーターショーに出展している。100%の天然資源化を実現するため、今回開発されたのは主要な3つのバイオ素材だ。それはタイヤを製造する上で欠かせない老化防止剤/加硫促進剤/カーボンブラックを作る技術の確立だった。
老化防止剤は大気中のオゾンによりゴム分子の破壊、クラックの発生を防ぐ添加材料で、加硫促進剤はゴム性能を高めるためにゴム分子に硫黄を加える工程(加硫工程)を促進する添加剤である。この老化防止剤と加硫促進剤については天然資源からは直接得られないため、植物由来のバイオマス資源から特殊触媒により合成する技術を確立。その原料化合物を用いて、従来の石油由来の薬剤と同等の耐オゾン劣化防止性能、加硫促進性能を持つ老化防止剤と加硫促進剤を作ることにに成功したわけだ。
またカーボンブラックについては、従来は石油や石炭からの製造に頼っていたが、植物由来のバイオマス資源(油成分)を効率的に燃焼する技術により、石油や石炭由来のものと同等の耐紫外線劣化性能を持つカーボンブラックの製造に成功した。
この結果、石油を材料としない天然ゴムや構造繊維と、今回新開発された老化防止剤/加硫促進剤/カーボンブラックを使用原材料とすることで、100%石油外天然資源タイヤの製造が可能になった。今後は耐久性など信頼性の評価と量産化技術の確立を目指し、2013年の発売に向けて開発を進めるとしている。