2016年10月17日、デンソーと東芝は、高度運転支援および自動運転技術の実現に向け、従来から両社がそれぞれ自主開発を行なってきた画像認識システム向けの人工知能技術(Deep Neural Network-Intellectual Property(DNN-IP))に関し、共同開発することで合意したと発表した。
DNNとは、人間の脳の神経回路をモデルとしたアルゴリズム(計算手法)で、人間と同等以上の高精度な認識処理の実現が期待される。自動運転の実現に向けては、多様な障害物や標示の認識、クルマが走行するためのフリースペースや危険が予想されるシーンの認識など、様々な状況の認識が必要となる。
従来のパターン認識や機械的な学習による画像認識では、対象物を人為的に特徴付け、あらかじめ学習させる必要があった。
これに対し、DNNを用いた画像認識は、自ら対象物の特徴を抽出し学習することができ、多様な対象物の認識、および検知精度は飛躍的に向上する。
また今回の共同開発では、DNN技術の日々の進化を考慮し、様々なネットワーク構成にも柔軟に対応する拡張性を持たせた開発を行ない、小型化や省電力化など車載用プロセッサーに実装可能な開発を行なうとしている。
デンソーは、従来から車載向けDNN-IPの自主開発を行なってきたが、今回の共同開発によって、この実用化を加速させ、画像センサーへ応用することにより、高性能な高度運転支援、自動運転システムの開発に取り組むとしている。
一方、東芝は従来の画像処理技術に加えて、共同開発したDNN-IPを専用ハードウェア化とし、車載用画像認識プロセッサー「Viscontシリーズ」に実装することで、認識処理の性能向上、DSP (Digital Signal Processor)やGPU(Graphics Processing Unit)搭載システムよりも低消費電力での画像処理を実現するという。
編:世界中のすべてのクルマで、同等の性能を持たなければ自動運転の実現は遠い。開発を担当する企業も単独開発では、コストばかりがかかり採算は見えてこない。そのため、こうした協業事業は今後、もっと加速していくことは間違いない。