デンソー 燃料電池車「ミライ」用に「SiCパワー半導体」を量産化

メガサプライヤーのデンソーは2020年12月10日、高品質なSiC(シリコンカーバイド)パワー半導体を搭載した次世代の昇圧用パワーモジュールの量産を開始したと発表しました。この製品は12月9日に販売を開始したトヨタの新型ミライに採用されています。

昇圧用パワーモジュール

デンソーはこのSiCパワー半導体を「REVOSICR(レボシック)」という名称を付けています。SiC(炭化ケイ素)とは、半導体の材料で、従来のSi(シリコン)よりも、高温、高周波、高電圧環境での性能が優れていることから、システムの電力損失低減、小型化、軽量化に大きく貢献し、高効率の電動車を実現させるキーデバイスの材料として注目されています。

SiCパワー半導体製造用のウエハー

デンソーは2014年に、SiCトランジスタをオーディオ向けに実用化。その後トヨタと共同でハイブリッド車向けの開発を2014年に発表し、2015年からはトヨタとともに実証実験を行なっていました。そして、2018年には車載用SiCダイオードが燃料電池バス(トヨタ・ソラ)に採用されています。

関連記事:電力損失を低減する新素材の高効率パワー半導体を採用したPCUを開発

関連記事:次世代のハイブリッド技術 SiCパワー半導体インバーター搭載車の公道試験開始

他社の動向では、2016年に発売されたホンダの燃料電池車「クラリティFCV」が世界初となるSiC半導体を使用した車載パワーコントロールユニット用昇圧コンバーターを搭載して登場しました。また、最近ではテスラ モデル3がSiC半導体を使用したパワーコントロールユニットを採用しています。

SiCパワー半導体

SiC半導体を使用した昇圧コンバーターは、よりコンパクトでしかも昇圧に伴う電力損失を大幅に低減できます。特に内燃エンジン車に比べ、電費の向上が難しいといわれる高圧バッテリーを大量に搭載する電気自動車にとって、電費や出力を大幅に高めるための画期的な存在であり、世界中のサプライヤーがSiC半導体の開発競争を繰り広げています。

これまで、なかなか実現しなかったのは、製造時の歩留まりが悪く、量産化が難しいことがハードルとなっていました。

今回、デンソーが新たに車載用SiCトランジスターを開発したことで、デンソーとしては初めてSiCトランジスターとSiCダイオードの双方が車載に搭載されることになりました。特に、新たに開発したSiCトランジスターはトレンチゲート型を採用したデンソー独自の構造や加工技術により、厳しい車載環境下で求められる高信頼性と高性能を両立したと言えるでしょう。

デンソー独自のトレンチゲート型の構造

このSiCパワー半導体(ダイオード、トランジスター)搭載の次期型昇圧用パワーモジュールと、従来のSiパワー半導体搭載製品を比較すると、体積は約30%削減、電力損失は約70%低減し、昇圧用パワーモジュールの小型化と車両燃費の向上に大きな効果を発揮しています。

今後はさらなる量産体制を確立することで、電気自動車、ハイブリッド車にも採用が拡大すると想定できます。

デンソー 関連記事
デンソー ジャパン 公式サイト


The Mortor Weekly

ページのトップに戻る