コンチネンタルタイヤは、2018年12月にタンポポゴムの研究所「Taraxagum Lab Anklam (タラクサガム・ラボ・アンクラム)」を、ドイツのメクレンブルク・フォアポンメルン州のアンクラムに開設したと発表した。2017年11月に行なわれたこ研究施設の起工式から、わずか1年で3万m2の面積の研究所が完成し、パラゴムノキを使用しないタンポポ由来の代替天然ゴムの研究・開発を開始した。
ブリヂストンは、熱帯地域原産のパラゴムノキを使用しない代替天然ゴムの原料としてグアユール・ゴムノキを使用した研究を進めているが、コンチネンタルタイヤはロシアタンポポを原料とした天然ゴムの研究・開発を進めているのだ。
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この新たな研究所は、ロシアタンポポの栽培や抽出プロセスの研究開発を行なう拠点となる。そして今後の天然ゴムの大幅な需要増加を想定し、ロシアタンポポを原材料とした天然ゴムの量産の実現を10年以内に目指すとしている。
コンチネンタルタイヤ部門プレジデントのニコライ・ゼッツァー氏は、開所式において、「このライトハウスプロジェクトを始動する運びとなり誇りに思います。コンチネンタルタイヤは、タンポポゴムの工業化に多額の投資を行なっている世界初のタイヤメーカーです。当社は、ロシアタンポポが従来の天然ゴムの原材料であるパラゴムノキに代わる重要な原材料であり、環境に適合できるるとともに今後想定されている天然ゴムの需要増に対応できると考えています」と語った。
この研究所では農業科学や化学、生産や工程技術を専門とする約20名の社員がロシアタンポポの栽培だけでなく、加工に使用する機械の開発や製造設備、運用の研究を行なう。この研究所の開設のために地元のメクレンブルク・フォアポンメルン州は地域の農業関係者と耕作地に新たな雇用やビジネスの機会をもたらし、雇用も創出することを見据えて今回のプロジェクトに約15億円の支援を行なった。
コンチネンタルタイヤは2011年以来、バイオテクノロジーのフラウンホーファー研究機構の分子生物学・応用生態学研究所、ユリウスクーン研究所、植物育種業者など様々な研究プロジェクトで協力してきたパートナーと連携し、さらにドイツ連邦教育研究省やドイツ連邦食料・農業省の支援の下、天然ゴムの原材料を熱帯地域の植物にとって代わる、穏やかな気候の中で栽培できる植物に置き換えるための研究に取り組んできている。
2014年には、100%タンポポゴム由来のトレッドを採用したウインター用プレミアムタイヤの最初のサンプルを完成させ走行テストも行なっている。その後、2016年のフランクフルト・モーターショーではタンポポゴムから作られたトレッドを使った初のトラック用タイヤを発表するなど実績があり、この新たな研究所で量産に向けての研究・開発がさらに加速する。