ブリヂストンから最新のスタッドレスタイヤ「ブリザック VRX2」が2017年9月から発売された。このニュー・スタッドレスタイヤは氷上ブレーキ性能を高め、静粛性を高め、さらに摩耗ライフを向上させている。より氷に強く、静かで長持ちというのがVRX2のアピールポイントだ。<レポート:松本晴比古/Haruhiko Matsumoto>
■ブリザック VRX2に採用された技術
これまでのタッドレスタイヤ「ブリザック VRX」をさらに進化させるために、VRX2の開発コンセプトは、氷上での性能をさらに高めながら、快適で、効きを長く持続できるプレミアム・スタッドレスタイヤとしている。
そのために新たな新発泡ゴムを採用するとともに、新開発の非対称トレッドパターンを組み合わせることで、アイスバーンでのブレーキ性能を大幅に向上させ、さらに摩耗ライフ、走行時の静粛性を高めているのだ。具体的にはVRX2は従来のVRX対比で、氷上ブレーキは10%短縮、摩耗ライフは22%向上、静粛性向上(騒音エネルギー31%低減)と大幅な性能向上を実現している。
コンパウンドは、ゴム内部の空洞部や水路の内側の親水性を向上させるコーティング技術を採用し、より氷上の水分を吸収する性能を高めた上で、微細なシリカ粒子をより増大したアクティブ発泡ゴム2を採用し、氷路面におけるグリップ力を最大限に発揮。
さらに、新たな非対称パターンを採用し、路面とトレッド・ゴムの接地面積を最大化している。またトレッドパターンの剛性を高め、Wシェイプブロックを採用することでブロックの倒れこみを抑制している。
ブロック剛性が向上したことで走行時のブロックの倒れ込みが少なくなり、接地面積が向上し、さらにWシェイプブロックとマルチアングルグルーブの相乗効果で、氷面を引っ掻く効果も得られている。
またVRX2は慣らし走行なしで装着初期から優れた氷上性能を確保するため、マイクロテクスチャーという微細な凹凸をトレッド表面に施し、高い除水性能を実現している。非対称パターンとアクティブ発泡ゴム2の組み合わせで静粛性と摩耗ライフも高める効果を発揮する。
静粛性では、溝、サイプをさまざまな角度を付けて最適配置し、空気の流れを分散するマルチアングルグルーブと、アクティブ発泡ゴム2のミクロの気泡と水路がもつ吸音機能を組み合わせることで、従来品対比、騒音エネルギーを31%(1.6dBA)低減している。
また、ブロック剛性を高めて走行時の変形を抑制することで、路面にブロックが引きずられにくくなり、従来品対比摩耗ライフを22%向上している。
こうした新たな技術により、氷上での止まる性能、静粛性、ロングライフ性能などを狙い通りにレベルアップしているのだ。
■ドライブ・フィーリング
まずテストは、外気の影響を受けにくい室内のツルツルの、アイススケートリンクのような氷上路で発進、ブレーキ性能を従来のVRXと比較。VRX2の方がこのような氷上路面でもより加減速のGを体感することができた。特にペダルを踏んだ瞬間の加速、減速の立ち上がりのよさが実感できた。
さらに屋外の氷上の円旋回での走行では、横滑りが始まりグリップが弱まるのが分かりやすく、またグリップを回復する瞬間のステアリングの手応えもVRX2の方がはっきりしていて、氷上でも運転しやすいと感じられた。
さらに場所を変え、次のテストは圧雪路でのハンドリングをチェックした。コース幅も広いので、より高速での走りとなり、路面は圧雪路と積雪状態が混在していたが、トレッド全体で路面をとらえている感触が伝わってくる。これはトレッド部のブロック剛性の高さと雪をしっかり捉えるせん断力の高さによって生み出されているのだろう。
ハンドルを切り出した時の応答性も素直で、遅れがより少ないので、雪上走行でのクルマのコントロールがしやすいし、安心感にもつながる。
最後は、郊外路の走行だ。あいにくテスト日は気温が上がり、北海道の郊外路も交通量が多い街道では雪がシャーベット状になっていた。しかしワダチ状の路面やシャーベット状の路面などさまざまな様相を見せる路面でも、安定感のある走りが確認できた。
スタッドレスタイヤで氷上性能をピンポイントで追求すると、郊外路などではタイヤの剛性不足によりステアリング・フィーリングが損なわれるというケースもあるがVRX2はもうし予想以上にしっかりしたフィーリングで、これもトレッドのブロック部の剛性を高めた効果と、VRXから採用しているふらつきを抑制する非対称サイド形状の効果だろうと実感できた。
この新発売されたブリザック VRX2は12インチから20インチ・サイズまで全109サイズがラインアップされ、多くの車種に装着できる点もアピールポイントだ。また価格はすべてメーカー希望小売価格が表示されている。