【ブリヂストン】使用済みタイヤを資源に戻す 精密熱分解パイロット実証プラントの起工式を実施

ブリヂストンは2025年10月21日、関工場(岐阜県関市)敷地内で、使用済タイヤの精密熱分解パイロット実証プラントの起工式を行なった。

起工式には山下清司関市長や経済産業省および国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の関係者、施工を担当する東芝プラントシステムの小西崇夫取締役社長、ブリヂストン関係者など計32名が参加した。

ブリヂストンは「EVERTIRE INITIATIVE」を通じて、使用済タイヤを「資源」としてゴムや原材料に「戻す」リサイクル事業をさまざまなパートナーと共に推進し、タイヤ水平リサイクルの早期社会実装を目指している。このパイロット実証プラントでは、使用済タイヤを精密熱分解することで分解油や再生カーボンブラックを回収し、タイヤ原材料として再利用するケミカルリサイクル技術の確立に向けて、技術実証を進めていく。

熱分解とは化合物を無酸素で加熱し、化合物の構成物質を発生させる方法で、今回のプラントで用いられる精密熱分解では、温度や時間などの詳細な条件を制御し、使用済タイヤから高品質なオイル(分解油)やカーボンブラックを高収率に生成することで、資源循環性の向上やCO2排出量の削減につなげていくという計画である。

ブリヂストンはこれまでにサーキュラーエコノミー(資源再利用の経済システム)の実現に向け、2022年からケミカルリサイクルに挑戦しており、2023年には東京都小平市のBridgestone Innovation Parkに実証機を導入し、精密熱分解試験を開始している。使用済タイヤから分解油や再生カーボンブラックを回収するための技術開発を進めており、これらの基盤技術をもとに今後は関工場のパイロット実証プラントで分解油や再生カーボンブラックなどの量産を見据えた技術の確立を目指すことになる。

使用済タイヤの精密熱分解パイロット実証プラントの外観イメージ。完成は2027年の予定

今回起工したパイロット実証プラント建設はENEOSと進めている共同プロジェクトの一環であり、2022年2月にNEDOの「グリーンイノベーション基金事業/CO2等を用いたプラスチック原料製造技術開発」に採択された実証事業「使用済タイヤからの化学品製造技術の開発」の研究開発テーマのひとつとなっている。

ENEOSで使用済タイヤから回収した分解油をリサイクルオイル化し、合成ゴムの素原料であるブタジエン等の化学品を製造することで、再生カーボンブラックとともにタイヤ原材料として再利用される資源の循環を目指している。

また、精密熱分解により得られる再生カーボンブラックは、2024年12月にNEDOに採択された東海カーボンによる実証事業「使用済みタイヤを含む高分子製品からのカーボン再利用技術の開発」において、新品並みのゴム補強性を持つカーボンブラックの生成を目指した技術開発にも活用される。

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