【ブリヂストン】もはやゴムではない 月面探査車用タイヤの開発

ブリヂストンと月面資源開発ビジネス・ベンチャー企業の「ispace」は2025年7月31日、中・小型月面探査車向けのタイヤの実用化に向けた基本合意書を締結したと発表した。

ispaceとブリヂストンはこの合意に基づき、小型および中型月面探査車の性能向上に向けた活動を共同で進めることになる。

ispaceが研究開発を進めている月面探査車のプロトタイプに、ブリヂストンが開発を進める柔らかく変形することで高い走破性と耐久性を提供する月面探査車用タイヤ(弾性車輪)を装着し、地上での評価検証を実施する。

その検証を通じて月面での技術実証の実現性や事業性の評価も行なうことで、最短2029年頃の実用化を共に目指して行くとしている。ispaceとブリヂストンは今回の取り組みを通じて、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)に設置された宇宙戦略基金の活用等も見据え、両社で日本の宇宙産業の発展に貢献することになる。

ispaceの袴田武史CEOは、「ispaceが目指す、シスルナ経済圏の構築には多様な業種のプレーヤーの参画が欠かせません。今回、ブリヂストンとの基本合意書締結と将来の月ミッションでの実証に関する検証は、まさにそれを証明するものです。世界の道を知り、地球のあらゆるモビリティの進化を技術で支えてきたブリヂストンが、極限の環境で安心・安全を守り、人類の夢を背負った宇宙探査を支えるべく研究開発を進める月面探査車用タイヤが、今後、月における人類の発展に貢献することは間違いありません。ispaceが開発するマイクロローバーは世界最小クラスの月面探査車で、月面という人類の目指す新しい場所には、なくてはならない技術です。新たな環境でシスルナ経済圏の構築のため、共に協業できることを楽しみにしています」とコメントしている。

ブリヂストンの太田正樹BSJP直需タイヤ戦略企画/新モビリティ事業部門長は、「ブリヂストンは2019年より月面探査車用タイヤの研究開発を開始、2025年4月には中・小型月面探査車向け軽量化タイヤのコンセプトモデルを発表するなど、さらなる宇宙ビジネスのネットワーク拡大と共創機会の創出に取り組んでいます。この度、当社の取り組みに共感いただいたispaceと協業を開始するに至り大変光栄です。ブリヂストンの月面探査車用タイヤは、金属製スポークの採用により、耐久性を確保しながら柔軟に変形することで、月面の岩などの障害物を乗り越えられる優れた走行性能を提供します。これにより、過酷な月面環境においてispaceのローバーを足元から支え、ともにさまざまなミッションへ挑戦していきます。日本発の宇宙スタートアップ企業であるispaceとの協業を通じ、当社の弾性車輪技術の優位性を確立し、日本における月面開発の発展に貢献してまいります」と語っている。

ispace 公式サイト

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