ブリヂストンのアメリカにおけるグループ会社である「ブリヂストン アメリカス インク(BSAM)」は、アメリカ・イリノイ州にある「ランザテック エヌジー (LanzaTech NZ, Inc.)」と使用済タイヤの革新的なリサイクル技術の開発に向けた独占的パートナーシップを締結したと発表した。
ブリヂストングループは二酸化炭素をエネルギーや化学品に転換する独自の技術を持つLanzaTechとのパートナーシップによるコラボレーションにより、バリューチェーン全体でカーボンニュートラル化、サーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組みを加速し、持続可能なタイヤとソリューションの普及により、カーボンニュートラルなモビリティ社会を目指すとしている。
世界のタイヤメーカー大手10社によって組織されている「タイヤ産業プロジェクト」によると、世界では毎年およそ10億本のタイヤが、再利用されることなく、その役割を終え廃棄されているとしている。周知のようにタイヤの製造には大量の熱エネルギーを使用し、CO2排出量が大きいことが課題になっている。
この課題に対し、ブリヂストングループとランザテックはパートナーとして、使用済タイヤを再生資源として新たな原材料へリサイクルし、再利用する資源循環システムの構築に取り組むのだ。
具体的には、ランザテックの持つ炭素回収とガス発酵技術を用いて、使用済タイヤからエタノールなどの化学品を製造し、包装用の樹脂(PET)やポリエステル糸、洗濯洗剤など日用品に使用される界面活性剤などの原材料として再利用することに取り組む。
さらに、使用済タイヤから、タイヤの材料の一つである合成ゴムの素原料となるブタジエンを製造するため、独自の微生物を用いた発酵技術の開発に向け、共同で探索を進めて行くことになっている。この活動により、使用済タイヤを新品タイヤの原材料に「戻す」資源循環の実現を目指すのだ。
ランザテックは廃棄物から炭素を回収、それを再生資源として、燃料、繊維、包装材などに再利用する事業を展開。その技術を通じて数多くの再生資源を生み出し、日常生活のあらゆるものが石化原料由来である必要がない未来を目指している。ランザテックは従来の炭素の利用方法を見直し、変革することを通じて、炭素がただ放出されるのではなく再利用され、それにより空や海がきれいに保たれ、環境汚染が過去のものとなる新たな炭素循環型経済の実現をゴールとしているのだ。
ブリヂストンは、タイヤを「創って売る」タイヤ事業、顧客がタイヤを「使う」段階で価値を提供するソリューション事業に加え、タイヤを原材料に「戻す」リサイクルの事業化に取り組み、サーキュラーエコノミーについては、2030年に再生資源・再生可能資源に由来する原材料比率を40%に向上させ、2050年に100%サステナブルマテリアル化に挑戦して行くとしている。
その一環として、すでに2021年にはミシュラン社とマテリアル・サーキュラリティに貢献する再生カーボンブラックの利用拡大について共同発表をしており、今年2月には、ENEOSと「使用済タイヤの精密熱分解によるケミカルリサイクル」技術の社会実装に向けた共同プロジェクトを開始している。