ブリヂストン 東大・NSKとインホイールモーターやワイヤレス給電を目指す

東京大学・藤本研究室が展開している国立研究開発法人・科学技術振興機構(JST)未来社会創造事業の研究プロジェクト「電気自動車への走行中直接給電が拓く未来社会」に、日本精工(NSK)とブリヂストンが共同研究として2018年から参画しているが、2019年8月1日に基本特許に関する合意を結び、共同で電気自動車(EV)に搭載されるインホイールモーターへの走行中ワイヤレス給電の実用化を目指すことが決定した。

NSKによる道路からインホイールモーターへワイヤレス給電の実験
NSKによる道路からインホイールモーターへワイヤレス給電の実験

プロジェクト概要

このプロジェクトは、CO2の排出を抑制する「低炭素社会」を構築するための全く新しい概念や科学に基づいた革新的な技術を創出することを目的として、東京大学大学院・新領域創成科学研究科・藤本博志准教授らの研究グループが提案している。そしてJSTは「地球規模課題である低炭素社会の実現」領域の2017年〜2022年の研究テーマとして採択されている。

欧州では次世代自動車の2030年CO2排出規制が決定するなど、世界中の自動車メーカーが車両の電動化(EV化)の開発・普及を推進しているが、その結果として近い将来にバッテリーの供給不足が懸念されている。

道路からインホイールモーターへのワイヤレス給電のイメージ
道路からインホイールモーターへのワイヤレス給電のイメージ

このプロジェクトでは、ホイール内に配置したインホイールモーターへ走行・停車中に路面から直接給電することで、より少ないバッテリー搭載量でEVの航続距離を確保することを目指として技術開発を行なっている。この技術が実現すればバッテリーの供給不足の懸念を払拭し、バッテリーの搭載量を少なくしEVの軽量化が可能となる。

今回の研究プロジェクトで東京大学は、インホイールモーターへのワイヤレス給電コンセプトの立案と改良、基盤技術の研究開発を担当する。NSKは、これまでのインホイールモーター開発で得られた技術を活かして搭載性に優れたインホイールモーター開発を担当し、走行中給電インフラの社会実装に関する検討を推進する。

NSKのインホイールモーター
NSKのインホイールモーター

ブリヂストンは、給電を阻害しない有機材料の知見やタイヤ開発の技術を活かし、給電時にインホイールモーターへの電力伝送を高効率で達成するためのタイヤ技術開発を担当する。

今後、このプロジェクトではインホイールモーターの設計・試作・評価および搭載車両の製作を行ない、2022年までにタイヤを含めた車両での評価を実施し、他の組織・企業が持つ様々な領域の知見を広く取り入れながら、2025年に実証実験フェーズへの移行を目指す計画だ。

また、東京大学、NSK、ブリヂストンは、このプロジェクトに関わる基本特許をオープン化することに合意し、プロジェクトの運営委員会で承認された企業・団体が権利化された技術を無償で使用可能とする知財の仕組みを整備する。これにより、現在の共同研究の枠組みに留まらず、オープンイノベーションによって研究開発を推進しながら様々な領域の技術を融合させることで、持続可能なモビリティ社会の実現に貢献するとしている。

未来社会創造事業 公式サイト
未来社会創造事業「電気自動車への走行中直接給電が拓く未来社会」

東京大学 藤本研究室 サイト

日本精工 関連記事
日本精工 公式サイト

ブリヂストン 関連記事
ブリヂストン 公式サイト

ページのトップに戻る